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まるで...デートみたい...なんて。

ご馳走様でした、と互いに店主さんにお礼を言いラーメンを食べ終え、誠さんの車の助手席に乗り込んだ。 「どうする?何処か寄る?繁華街はあるはあるけど、しょぼいけどね」 運転席の誠さんがハンドルを手に笑う。 「えっと...」 「理一になにか買っていこうか?陽平くんは必要なものとかない?」 「僕は...特に...」 仕事や育児や家事でいっぱいいっぱいでろくに趣味もない僕だから...。 「んー、たまには息抜きも必要だと思うよ?なにか映画でも観る?映画は苦手?」 「いえ、好きです。でも最近、全然観てないですけど...」 「だったら行こうか、せっかくだし。面白そうなのがあるといいね」 誠さんが優しい笑みで映画館へと車を走らせた。 ...なんだか。 デートみたい、だなんて思ってしまった...。 誠さんは男だってのに...恥ずかしいやら複雑な気持ち、なのに顔が熱い。 「着いたよ、行こう」 「はい」 映画館のあるショッピングモールの駐車場に車を止め、館内の映画館へ並んで向かう。 ポップコーンの芳しい香りが漂ってきた。 「ポップコーン、買っていこうか。アクション?アニメもあるな...今度、理一、連れて行ってみる?」 「理一を、ですか...?」 「アニメ、好きだろう、理一。俺の部屋でも観てたし」 「で、でも、映画館だし...理一がはしゃいだり騒いだりして迷惑かけてしまうかもだし...」 ははは、と誠さんが笑う。 「別に大丈夫だと思うけど。子連ればかりだろうから、みんなはしゃいだり大騒ぎしているだろうし。行き過ぎたら注意すればいいだけだし。大画面で楽しめたら理一も喜ぶんじゃないかな?」 確かに、そうかもしれない。 ううん、理一は多分、喜ぶ。 「...僕より誠さんの方が子育てに向いてそうです」 「えっ?そんなことないよ。第三者だから言えるだけ」 「あ、その...」 「うん?」 「あの、理一とその、アニメ観に来るとき、良かったら誠さんも、そのご迷惑でなければご一緒に...お願いしてもいいですか...?」 「もちろん。土日祝は大丈夫だし、いつでも誘ってよ。じゃ、このアクションにしようか?人気みたいだし。さて、席決めてくるし、ポップコーンとか飲み物、頼んでいい?陽平くん」 カウンターの列に並ぶ誠さんが財布を取り出し、3千円を差し出した。 「や、いいです。僕が払います」 「いいって、はい。俺はメロンソーダがあればメロンソーダで...なかったらコーラでお願い」 「はい」 「後でね」 「はい」 そうして、飲み物やポップコーンの売り場に向かう。 「メロンソーダ...あ、あった。すみません、メロンソーダとオレンジジュースと...ポップコーン。塩味とキャラメル味を...」 飲み物やポップコーンを持ち、席を決めてくれた誠さんと落ち合う。 「ありがと。陽平くん」 「あ、ポップコーン。塩味とキャラメル、どっちがいいですか?」 「んー、それぞれ両方食べない?どっちも食べたいかな」 「ですね」 「はい、チケット」 誠さんにチケットを渡された。 なんとなく...。 半券は記念に取っておこう、と思った。 久しぶりの映画館のスクリーン。 隣に座るのは元嫁の義兄、誠さん、だなんて、本当に奇縁だなあ、と思う。 でも、何故だろう...嬉しいだけでなくドキドキしてしまう...。 映画を観終わったら理一への買い物だ。 少しでも良くなっていたらいいな...。 それに、理一も連れて、誠さんとアニメ。 理一も喜んでくれるかな...本当に楽しみだ。

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