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5-山田

喉の奥に、もっと…もっと深く。そしたらきっと、安藤は気持ち良くなってくれる。 せめて俺とこういう事するためだけでも、話しかけてもらえんじゃないかって必死だった。 傘の付け根を引っ掻くように、上唇の角度を変える。当てて、転がして、呑み込んでの繰り返し。 そうすれば、安藤は時折息を詰めて目を閉じた。眉を顰め、吐き出すのは熱い息。 その頃には既に独特の味わいなどどうでもよくなっていて、無我夢中で更に大きさを増した安藤のそれを頬張る。 そして遂に、今まで後頭部に添えているだけだった大きな掌が俺の髪を鷲掴みにした。 「なぁおい…このままイくから、そのまんま喉締めとけよ」 「ん、んんッ…がぼ、ご……ぅぐ、ん…!」 両手で頭を押さえられ、そのまま激しく揺さぶられた。さっきは押し付けられるだけだったのに、今度はそうじゃない。 空気を吸い込むタイミングを少し間違えば窒息してしまいそうだ。苦しくて、痛くて、視界が歪む。口元は自身の唾液と涙でぐちゃぐちゃになっていて。 「あー……イ、ク──っ」 その呟きを耳が捉えたと同時に、喉の奥で薄い膜が細かく振動した。空っぽだった先端に精液が放たれ、数回に渡り上顎を刺激する。 安藤が俺の口…で、イってくれた……。 下手じゃなかったって事かな。俺、安藤の中で何番目に満足させてあげられたんだろう。 安藤、俺の事少しは…嫌じゃなくなってくれたかな。 「あ…安藤……お、俺上手く出来てた…?」 ようやく手を離してくれた安藤を見上げ、未だ頬を伝い続ける涙を拭って問う。 でも、安藤はまだ、以前のようには笑いかけてくれない。それどころかそっぽを向いて歯軋りまでしている。 たっぷりと時間を使い、呼吸を整える安藤の横顔は色気があって格好良かった。火照った身体とのバランスは絶妙で、こんな場所でも絵になっている。 それをこうして間近で見られた俺は、こうなった経緯も忘れて優越感すら覚えた。だが──。 「…もっと上手くシてくれる奴なんて山程居た。もしかして童貞がチョーシ乗ってんの?」 「え……そ、な…事ない…」 「そんな事より俺さっきから気になってんだけどー、ソレ何?」 「…っ」 放たれた言葉はあまりにも残酷だった。まるで心臓を砕かれるかのような鈍い痛みが俺を襲う。 俺の初めてを、安藤に“そんな事”で済まされたのも悲しかった。悔しかったけど、それ以上に申し訳なさが勝ってしまった。 その上、最後に指をさされた「ソレ」の意味──。 俺自身も気付かぬうちに、下腹部は疼きを伴い、布を押し上げていたのだ。 「人のモンしゃぶって勃ってるとかウケんだけど。えー、なに?お前俺に抱かれてーの?」 「……っ、はぁ?」 冷たく笑う安藤は、勢いに任せて精液の溜まった避妊具を取り払う。 そして、俺をいとも簡単に押し倒す──。

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