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7-安藤

りゅうには少しでも穏やかな睡眠をとってほしいが、俺はまだ眠るわけにはいかなかった。 色々と整理しなきゃいけねー。 人間関係の整理。平たく言えばセフレへのお別れメールだ。 いくら俺でも見境なく声をかけてはホテルに連れ込んでいる訳ではなく、良好な人間関係を築いた上で進展した結果が“身体の関係を持つこともある女友達”だっただけ。彼女らが俺に本気の恋愛を求めていないのは心底助かった。 まだ見る目が養われていなかった昔は、家まで跡をつけられて凸られた経験も職場の入り口で待ち伏せされた経験もあったりする。それに懲りてからは、同じ職場でも無い限り自分の職種も明かさないし自宅など絶対に教えないようになった。帰り道は後続車の運転席をミラー越しにじっと睨みつける癖が未だに抜けずにいる。 “好きな子出来たかもだから、応援してくんね?俺めっちゃ一途かもしれん” なんて薄くて曖昧なメッセージを何人かに送れば、ぽつりぽつりと返信が届く。 『レアすぎじゃんw エッチ上手いし優しいし絶対上手くいくと思う!!』 『困ったら相談のるから!でもまぁセックス上手いし身体で黙らせれるんじゃん?』 『トプ画ツーショになるの楽しみにしてる笑笑 事後の画像だったらブロるけど笑笑』 ……俺どんだけ猿だよふざけんなっての。 なんて、画面を見て文句を呟く。快く背中を押してくれる友人が居て幸せ者だ。 ただのセフレなんかじゃない。彼女らは大事な友達だった。 欲を言えば、これからも仲良くしていきたいけど…俺が今一番大切にしたいと思うワガママ姫はそれをよく思わないだろう。 気を遣って見て見ぬふりをするかもしれない。逆に怒って泣いてヒスっちまうかもしれない。どちらにしても、あいつが喜ばねー事を続けていたいとは思わない。だから──。 “ほんと今までありがとな。まーもしその辺で見かけた時はどんどん声かけてくれよ!じゃあな” ブロック機能なんて一生使う事はないと思っていた。りゅうにはそれだけの魅力があるらしい。 この先りゅうとうまくいくかなんてまだ誰にもわからない。それでも、確かに一歩を踏み出したいと思ったのだ。運命による強制的な引き寄せなだけかもしれない。それでも想いは嘘じゃない…と思うから。 りゅうの気持ちを否定するのはやめた。俺の気持ちも否定したくない。 りゅうを可愛い、愛おしい、好きだと自覚したのは運命のせいだけじゃないと信じたい。 スッキリしたトーク履歴を眺め、ようやく目を閉じた。時刻は2時30分を過ぎていた。 こりゃ明日は澄晴の世話になるの確定だ。

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