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7-安藤

翌日。眠たい目を擦りながら会社へ辿り着けば、ちょうど出社時間が被った澄晴が掛けてきた。 「安藤、おはよう。…体調は変わりないか?」 「んー?大丈夫大丈夫。心配かけたな」 「そんな事……。元気なら安心した」 体調最悪で寝付けなくて、最強に眠いから代わりに仕事よろしく〜…なんて冗談でも言えないくらいには真っ青な顔してるコイツには敵わない。 こうなるってわかっていたから昨日もわざわざ電話したってのに、結局コレだ。心配性で優しい友人は本気で倍量の仕事をこなしそうだったので、行きがけにいつものカフェでアイスコーヒーを買うことにした。 「お前はミルクティーだっけ?冷たいのでいい?」 「え?いや俺はいいよ」 「せめてこれくらい奢らせろよ。どんだけ助かったと思ってんだよ」 「………そ、そうかな…じゃあ」 遠慮がちな澄晴を丸め込むことに成功し、アイスミルクティーとブラックコーヒーを…もう一つ。こっちは澄晴と同じく世話をかけた池田っちへの差し入れだ。甘党だったらただの罰ゲームでしかないけど、フレッシュやシロップくらいならオフィスの給湯室にもあるだろうから問題ない。 両手をカップで塞いで出社とは、なんともサボり臭さの出ている光景である。もし今日りゅうがここに居たら、間違いなく“クソサボリーマン”と突っ込まれるだろう。 「あれ、今日三島先輩いねーな」 「ああ…そうみたいだな」 オフィスへ入れば、いつもは他のどの部署よりも賑やかな生産管理課がしんと静まり返っている。いくら中心人物がいないとはいえ、不自然なほどに。 「なんだよつまんねー。一言ガツンと言ってやんねーと気が済まないってのに」 混乱してそれどころではなかったので、あの場では三島に満足な暴言も吐けず、正直なところ不完全燃焼で終わっている。偶然2人きりにでもなれるタイミングがあれば、鳩尾に一発くらい見舞ってやりたかったのだが残念だ。 「はは……ま、忘れよう。気持ちはわかるけど…あの人はもう俺達に何かしてくる事は無いよ」 「は?どゆこと。なんで言い切れるん」 「……約束したから」 「?」 これ以上は言いたくないと、直接的でなくとも壁を作るような態度を取られれば、こちらも深く追求する事は出来なくなる。コーヒーを渡しながら池田っちにもそれとなく聞いてみたが、澄晴と同じような事を呟いて濁すだけだった。 俺の居ないところで何かあった事は明白だが、まあ無事に?解決したってんならいちいち蒸し返してゴタつく必要はない。 PCの電源を入れると同時に、りゅうから届いていた「おはよう」のメッセージに返信をした。

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