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第37話

 甘い声が聞こえる。甘い匂いがする。  そんなことをぼんやりとした中で感じながら、小鳥遊は強く腰を打ち付ける。 「あ! 奥、奥きて、る、はっ、ダメ!」 「麻陽、気持ちいいよ……甘い……もっとフェロモン出して」 「や、だ! あ! 待って、あっ!」  ごちゅごちゅと容赦無く奥をえぐられる。  ベータのモノとは比べ物にならないアルファの中心は、これまで暴かれたことのなかった麻陽のナカを簡単に開いてしまった。  太い杭で、ナカのすべてが擦られる。動くたびにすべてが刺激される。奥の弱いところを突き上げられて、麻陽はもう快感に溺れることしか許されない。  小鳥遊が麻陽にキスを落とす。それに応えるのも難しくて、麻陽は舌を差し出すだけである。 「ああ……麻陽、可愛い、もっと見せて。いやらしい姿を、教えてくれ」 「ん、ぐ、ぅ、んっ!」  キスが深くなると、呼吸が奪われた。酸素が足りず熱が満ちる。思考が曖昧だ。視界も霞んで、近くにいる小鳥遊のこともよく見えない。快楽が足の先にまで回り、自然と足先が断続的に跳ねていた。そのたびにナカも締まるのか、時折小鳥遊からも甘やかな声が漏れている。  麻陽で、小鳥遊が気持ち良くなっている。  たったそれだけのことなのに、麻陽も昂って仕方がない。 「気持ちいい、麻陽のナカ、熱いよ……あー……イく、ダメだ、出そう」 「ん、あっ! イって、ナカ、に、出して」 「あんまり煽るな」  小鳥遊が麻陽を包むように抱きしめた。強く締まり、肌と肌がピタリとくっつく。 「はっ……麻陽、好き……好きだ……」 「ん、僕も、好き、ことりさ、」 「こら、脚……」  ガツガツと打ち付ける小鳥遊の腰に、麻陽の脚が巻きついた。 「ダメだ、麻陽、止まらない、そんなことしたら興奮する」 「して、もっとして……ことりさん、出してっ」 「いや……外、に……!」  律動を繰り返していると、腰の奥から射精感が這い上がった。  ゾクゾクと感じるままに思いきり奥に叩きつければ、快感が一気に中心を駆け抜ける。そうして先っぽから精液が飛び散る寸前、小鳥遊はなんとかナカから中心を引き抜くと、白濁はそのまま麻陽の体に散らした。 「は……ああ……すまない、麻陽……」  射精中も軽く擦りながら、さらに白を吐き出していく。  やがてそれは麻陽の顔から体までのすべてを染めて、ようやく止まったようだった。 「はー……大丈夫か?」 「ん、うん」  軽く起き上がって、飛び散った白を指先に絡める。それを擦り合わせて遊んだかと思えば、麻陽は躊躇いもなくペロリと舐めた。 「……こら……また挿れたくなっただろ」 「うん。ほしー……たくさんちょーだい」 「……ずっと言いたかったんだが、麻陽のその緩い喋り方、好きなんだ。可愛くて仕方がない」  麻陽が体を伸ばして、小鳥遊に一度触れるだけのキスをした。舌を絡めようと小鳥遊が顔をズラしたが、その頃にはすでに麻陽は居ない。麻陽はぐっと身をかがめていた。そうして小鳥遊の中心に顔を持っていくと、今度はそちらに口付けを落とす。 「……麻陽?」 「ん……精子の味がする……」 「いつもそんなこと言いながら舐めるのか……? 妬けるよ、麻陽の過去にはつくづく嫉妬させられる。……麻陽の味を知っている男を全部殺しておこうか」  麻陽の頭に手を置いて、小鳥遊は震える吐息を吐き出す。  寝起きのときにも思ったが、麻陽はやはり口淫が上手い。男の喜ぶところを的確に刺激して、その動きで確実に射精を誘う。 「じゅる、ぐぷ……んぅ……」 「ああ……麻陽、挿れたい……もう、勃ったから」  麻陽が顔を上げて、軽く小鳥遊の肩を押した。すると後ろに尻をついた小鳥遊の腰に、麻陽が乗り上げる。 「……それ、要らない」  またしてもコンドームを取り出した小鳥遊を、麻陽はじろりと睨み付ける。 「そう言わないでくれ。……発情期《ヒート》中の妊娠率が高いのは知ってるだろ? 俺はまだ麻陽と二人で新婚気分を味わっていたい」 「……ん、でも……」 「それに……次は、麻陽のナカでイきたいから」  なだめるようにキスを繰り返しながら、小鳥遊は器用にコンドームをつけた。  小鳥遊が根元を掴んで固定すると、察した麻陽が腰を落とす。柔らかなナカにのみ込まれていく。うごめく肉壁が小鳥遊の熱を歓迎して、痺れるような快感を生み出していた。 「ん……うー……ことりさんの、気持ちい……」 「それは良かった……」  へたりと力の抜けた麻陽は、それでもすぐに持ち直す。ゆるゆると腰を持ち上げて、じっくりと落とす。焦らすように扱く動きに、小鳥遊の腰がぶるりと震えた。 「……麻陽……動いても?」 「やだ。……今度は、僕がするの」 「ああ、それはいいが……もどかしい」  じわじわと擦られる感覚に、小鳥遊は息をのむ。短く吐息を吐き出して、さらに襲う快感を受け流す。  このまま腰を突き上げてしまいたい。そう思うのに、こうして麻陽に好き勝手されているのも悪くはない。マゾの気はないと思っていたのだが、麻陽に対してのみ少しはそっちの気もあるのかもしれない。  焦らされる快感に甘やかに声を漏らしながら、小鳥遊は動きたい衝動を必死に堪えていた。 「ん……あっ、おっきーの、気持ちい……ことりさんの、ぴったり入る……」 「やめてくれ、我慢ができなくなる」 「うん。わざと、言ってるの」  小鳥遊を抱きしめて、吸い付くように唇を重ねる。肌が触れ合う。麻陽の胸元の華奢な感触を感じれば、小鳥遊の快感もゾクゾクと増していく。 「ああ、麻陽……気持ちいい……イかせてくれ」 「……ん、いーよ」  それまでじっくりと味わうような動きをしていた腰つきが、唐突に豹変した。  ナカをきゅうきゅうと締め付けながら、激しく上下に揺れ始める。その変化に不意を突かれた小鳥遊は暴発しそうにもなったが、腹に力を入れてなんとか堪えたようだ。  激しくナカが擦れ合う。粘膜が収縮して小鳥遊の中心を締め付け、射精をうながすように激しく揺れていた。 「あっ……麻陽、これは、すぐに……ああ、」 「ん、イって、ことりさ、あっ、ナカで……」 「っ……は、ぁ、イく……ああ、そのまま、擦って……」  麻陽の腹の奥から、ぐちゅぐちゅと粘着質な音が聞こえた。  奥が触れ合っている。小鳥遊の中心が繰り返し奥を突き上げ、そのたび肉壁に絞られる。  動きたい衝動を必死に堪えて受け入れる快楽に、小鳥遊も限界が近かった。  自身の上で動く、やけに色っぽい麻陽の姿をじっと見つめる。麻陽もすっかりとろけた顔をして、快感を求めて腰を振っていた。 「あー……あさ、ひ……イく、ああ、出る、あっ、ぐ!」  びくりと大きく膝が跳ねると、小鳥遊は麻陽のナカで精を吐いた。  麻陽が撫でるように小鳥遊の肌に触れ、誘うように抱きしめる。腰は止まらず、緩やかに上下していた。 「はー……麻陽……イった、から、待て」 「うん……気持ちよかったね……」 「……次は俺がしよう」  まだ張り詰めたままの麻陽の中心。そこは決定的な快楽を待つように勃起したままである。  麻陽をそっと横たえると、小鳥遊は躊躇うことなく麻陽の中心に顔を近づける。  麻陽のそれが小鳥遊の口にのみ込まれると、麻陽はさらに快楽に溶かされたようだった。  

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