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プロローグ
朧月。
それは、雲の間から見える儚げな月の事を、表す。
だとしたら、魔界では、拝めないかも知れない。
暗憺な地に…。
浮かぶのは、妖しい、紅色の月。
天界なら、兎も角、この地では、無理だ。
そいゆう話を、以前、従姉に話したら『フリアが、所有する地なら、天界も近いけど、何故、叔母様が、第二圈に、拘るか、解る?』と、返ってきた。
それは…。
第二圈は、叔母様が。
本来、息子に、与えるべく、叔父様に頼んだから。
だけど、叔母様は、息子を、別の世界へと、飛ばす事を選んだ。
それが…。
アルザリ公との子供だと、誰が思う。
誰も、思いはしないだろう。
だって、子供を護る為に、別の時代へと。
飛ばす事が出来るのは…。
叔母様くらいだから。
『ですから、契りを交わさないのですか?』
契りは、交わしたいけど。
好きな相手が居る。
そう、言えたら、嬉しいのに、カミリアには、何故か言えない。
素直に、喜んでくれるか、解らないからだ。
別に、肉体関係を、持っている訳じゃない。
だけど、関係的には、幼馴染みという枠なのだ。
それを…。
上手く、結び付けるとすれば、叔母様に、頭を下げる事なのだろうけど、あの人、美味しそうな匂いがしないと、反応しない。
華美なる匂いがするらしい。
甘く、凄く、蕩ける様なチョコレートを、食べている様な。
とりあえず、実るか、実らないかを、見極めている。
其処に、ご慈悲が、掛かるかは、僕次第なのだろう。
それで…。
振り向いてくれるなら、僕は、叔母様に願います。
『どうか、この恋が、嘗ての…白き絶対神『サファリア』が、聞き届けてくれます様に』
機嫌が良ければ、受理してくれるかも知れない。
ー…女神が。
恋に、反応するのは、解っている。
好物とも言える物語だから。
僕、リヤールは、此処に、記す。
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