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【ヒレローラside】
「宜しいんですか、ハヅキに、カミリア様の侍女選びなんてさせて」
テーブルに、置かれたティーカップ。
それを、静かに、手へ取った叔母は口へと運ぶ。
カミリアの侍女選びを提案した本人は、異なる瞳を細めた。
「何ら、問題無いでしょう。ハヅキに、任せておけば良いのよ…」
「私的には、アルザリに、任せたかったんですが」
「無理ですよ。ヒレローラ様。アルザリ兄様は、今の時期…第九圏の奥深くで、忙しいですから」
「ふふふっ、言えてますわ。彼処は、魔に堕ちた者が辿り着く場所。並の者なら…精神病院行きですよ…」
叔母様、恐いです。
そして…。
頼りになる、アルザリに任せたかった。
「ヒレローラ様、悩む種は、まだあります。この時代には、そぐわないかも知れませんが、例の計画にも手を付けなければいけません…。ゼウダーの為にも」
本題に、入るアルゼスが、素晴らしい。
「アレを、どうにかしないといけないのは解るけど、果たして、動くのかしら。あの、用心深い神が…」
「叔母様、悪趣味にも、程があります」
「アルザリみたいな趣味はしていませんよ…」
「まぁ、尻尾を振ってもらわなければ、困ります」
それは、天界の今後の問題なんだろう。
だが、私の息子であるカギリは、幼いのだ。幼い故に、まだ、判断が出来ない。
解っている叔母様は、したたかな気もするが、違う。
これは、忠告な気もする。
だって…。
彼女は、したたかじゃなく、確信犯だ。
これから、起きる事を、解っている。
「さて、叔父様が、尻尾フリフリなんて、有り得るのかしら…」
微かに『あの、根暗』と、聞こえた。
頭の中では、理解しているんだ。
叔父様が寝る前に、吐いていた言葉と、同じなんだと。
だけど、同時に、触れてはいけないんだと。警告されている気がした。
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