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2ー1
此処は、今、倒れている侍女を採用し、お付きにしてしまえば、一件落着だ。
数カ月前の苦労も綺麗さっぱり流れてくれる。ハヅキは、カミリアに内緒で、判を押したのだ。
後で、反抗されても、推してしまえば良い。
また…。
一からやり直しとか、たまるか。
僕の、至福の時間を削ってまで選んできたのだから。
カミリア様が、折れるべきだ。
「ヒレローラ様も、酷いですわ…」
『諦めて、その、侍女にしておいて下さい。でなければ、レイナ様の方へ、報告を回します』
「うっ、それは…」
流石の皇女でも、叔母の名前を出されては敵わないのを彼は知っていた。
この世で、レイナに敵う相手が居るとすれば、ハヅキの師匠である『恐怖の大公』ぐらいじゃないだろうか。とりあえず、ブルブェニの特権を握っているのは、女神だが、その、彼女を翻弄しているのは、夫。
『という事で、仕事へ戻って下さい』
途中で、投げ捨ててまで、逃げるのは、内容が、嫌だったのだろう。
だが、腹を背には変えられない。仕事は、きっちり終わらせてもらうのが、ハヅキのモットー。
一ミリたりとも、ズラす訳にはいかない。
縫いぐるみを作る時、布に、鋏を入れる瞬間と、同じなのだ。
一つ一つ、丁寧に、作り上げてこそ、裁縫の心得。あの、リトルベアー隊の生地も、無理を言って取り寄せてもらった物。
第二圏には、あまり見掛けない代物だったりする。
鳴呼…。
チャコペンシル、新しいの、お願いしよう。
次の、縫いぐるみの案が、浮かぶ。
一つだけ問題があるとすれば、彼が居る部屋だ。誰一人として、総司令官室には、入れないという。
あの、部屋は、恐怖の塊だと、家臣達が、口を揃えて言うもんだから、主である魔王は考えた。
考えた結果が、呼びに行く相手を準備した事。
『彼奴、総司令官室の異常状態を、楽しんでいますよ。流石、兄様の弟子と言うべきでしょうか』
そんな報告を、担当から伺った時、男性は固まった。
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