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このままこの暗闇に落ちれば、きっと気持ち良く寝られる…
と、意識を手放そうとした…瞬間。
「やっぱおれには、興味持ってもらえないんですね」
「……あ?」
寝入りばなを挫く後輩の声に、快斗の口から不機嫌な声が漏れ出す。
(寝かせろよ)
明日仕事なのはお互い同じだろ、と思いながら、相変わらず快斗の上にいる知徳を睨みつけた。
「やっぱ、いーんですか?」
「あぁ?」
「斉藤 課長です。…あの人と付き合ってるから、他には目が向かないってことなんですよね」
「ッ」
酔っ払いの耳にもはっきりと聞こえた、明瞭な語り口。
普段の知徳にない、歯切れの良い言葉遣いで名指しされたその名前に驚いた快斗の目が開き、完全に眠気を忘れたかのような光を宿した。
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