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「あ~、分かる分かる。 今日のお前、いつもより二割増しで男前だもんな」
「へっ」
別に慰めるつもりじゃないけどな、という前置きを内心で付け加えた言葉を放つと、涙で顔を濡らした知徳が嬉しそうに頬を緩めるのを見た快斗の口元に、笑みが浮かぶ。
「なぁ…お前、ゲイなの?」
黙っていれば男前な知徳の頬を伝う涙に指を伸ばし、熱い雫を掬い取る。
白い指先から受ける、イメージ通りの冷たい指に涙を拭われてどきりとしながら、知徳は首を横に振る。
「じゃあ…」
「言ったでしょう、入社した時からずっとセンパイのこと見てきたって!」
(…だから?)
さっきまであった眠気は飛んだものの、酔いは簡単に冷めることはない。
ずっと見てたら男にも性欲をもよおすものなんだろうか、と、不思議な心境を抱いて知徳を見つめていると、自分の意図が快斗に全然伝わっていないことに気がつき、音を立てて口内に湧き出した唾を飲み込み――覚悟を決め、口を開いた。
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