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「おれはっ、センパイのことが…好きなんですッ!」
「!」
知徳が放った『好き』という名の矢が、無防備に横たわっていた快斗の胸に…とすっ、と刺さった音がした。
「…好き?」
「そぉッス! 男なんか好きになる訳がないと思って生きてきた常識を覆されたほどフォロー上手なセンパイに、恋しちゃったんです! …だからっ」
恥ずかしげもなく、ストレートな言葉をぶつけてくる知徳の顔を見ているだけで、勝手に胸がときめきのステップを踏む。
(恋、って)
そんな単語を、大の男から聞かされることになるとは思いもしなかった快斗の胸は、言葉を認識した瞬間からトップスピードで激しいビートを刻み出す。
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