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7.「ん……熱いね」

 止めどない先走りが、数多の灯りで艶やかに照る。反射的にパクリと咥えた。もちろん、半分すらも僕の口には入らない。 「やめ……だめ、だ、ああ……」  初めてノエ様の匂いを感じる。薔薇でも柑橘でもミントでもない、ノエ様本来の人間くさい匂い。僕だけが知るのだと思うと、愛おしくてたまらない。  ちゅぷりちゅぷり。後孔への指も休めることなく、丸く張った先端を唇で喰むように味わう。吸う。 「マリアッ! もう、あああっ!」  ノエ様が強い力で僕の頭を引き剥がす。本気を出されたら、全く対抗できない。  口淫から解放されると同時に、勢いよくノエ様が果てる。それは、優美な肉体に降り注ぐ。 「……うぅ……は……」  気だるげに紅潮した頬、薄く開いた口元から溢れる吐息。腹筋の谷間へトロリと流れゆく精液。ノエ様の匂いが天蓋の内に広がって…… 「ああ、僕っ、ごめんなさいっ!」  限界だ。二本の指を素早く抜き去る。まだ、二本。でももう我慢できない。香油に濡れたその手でおちんちんを握る。激しく擦り上げ、ノエ様に向けて思いっきり射精した。 「はぁ……はぁ……」  一気に放出したせいでクラクラする。 「ん……熱いね」  ノエ様はぐったり横たわりながら、自分を濡らす二人分の生温かい飛沫を両手でかき混ぜている。潤んだ榛色の瞳は、何だか嬉しそうだ。 「満足しちゃいました?」  堪え性のない未熟な僕自身が、男として結構悔しい。それに、全然足りない。  誤魔化すように悪戯っぽく笑いかけて、指二本から再開する。今度は確実にイイトコロを狙って。 「ひゃっ?!」  困り顔のノエ様。白濁でベタつく両手は置きどころがなく、隠れ蓑にできない。   「は、あっ……イイ、あああっ!」 「気持ちいいですか? よかった」  快楽に悶える姿もまた愛らしい。奥底から湧き上がる衝動のまま指を増やし、優しく攻め立てる。 「……ああ……マリア……マリ、んっ……」  言葉にならない喘ぎ声の合間に、無意識で僕を求める声。 「ここにいます」  そう答えて震える雄の性器に軽くキスすると、緩んできた雌の胎内が指を締めつける。こんなところまでたくましく筋肉質だ。  僕は香油に塗れた三本を、蕾から引き抜く。不意打ちのような刺激に、ノエ様が小さく悲鳴を上げる。 「そろそろ、いいですか?」

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