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8.「ねぇ、私の夫になって」

「は……っ、ふ……まって……」  切なげに息をつく様子からは、全く余裕が感じられない。僕はうなずいて、厚い布を冷めかけた湯の器に浸し、ノエ様の手や腹を清める。 「……ありがとう」  ノエ様が僕の片手を取り、掠れた声で囁く。 「マリア、ねぇ、私の夫になって」  いつもより甘えを含んだ口調に、胸の奥が疼く。 「僕と結婚してください、ノエ様」  家同士で既に決められた婚約。だから、これが初めてのプロポーズだ。  返事の代わりにノエ様の腕が伸び、僕の腰を抱き寄せる。汗ばむ肌の感触が心地良い。  学んでいた通りにノエ様の下にクッションをあてがい、おちんちんをゆっくりと埋めていく。 「うぅっ、は……くっ!」  さっき一度イッておいてよかった。そう思えるほど、狭く、キツく、熱い。 「っ……だい、じょうぶ……?」  僕に組み敷かれているノエ様に、逆に気遣われてしまった。 「は、い……もう少し……」 「っはぁ、はぁっ……ああ」  長い時間をかけて、ようやく僕の全てがノエ様の内側に入る。奥にトンと当たると、えも言われぬ快感が初めて体を駆け巡る。 「ううぅっ! はぁっ、ノエッ!」  困る。気持ちよすぎて腰が止まらない。ノエ様が僕の下で荒い呼吸を繰り返す。その姿があまりにも扇情的で、もっと興奮してしまう。  この日初めて知った。恋う人に向ける激しい劣情。 「ノエ……はぁっ…好、き、っぁ、好き……ですっ!」  もっと深く繋がりたい。腿を強引に抱え、夢中で突き上げる。グイグイと奥に押しつけ、本能の赴くまま精を放った。 「……あつ……い……いっぱい……」  陶酔しきったノエ様の微かな呟き。  繋がったまま、僕はその体の上に倒れ込む。ああ、抜きたくない。 「ね……キス……」  そっと強請る唇に唇を合わせる。潤いを求めるように弱々しく舌を吸われ、ハッと気づく。硬い腹筋と軟弱な僕に挟まれたノエ様の巨根は、まだ滾ったままだ。  これ以上喉を痛めぬよう唇を塞ぎ、二人の間に片手を差し込む。ノエ様の雄を握る。今の僕の快感を、愛する人の肢体で再現したい。大きな亀頭を手のひらで包み、真似るようにグイグイと押し潰す。 「……ぅ……んっ」  絶頂の余韻でわななく狭路が、更に僕を甘く絞り取った。

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