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第二話 そなたの帰りを待つ者 2
……遠い。門から屋敷の玄関までが果てしなく遠いのだ。金の使い道に困っていたのだろうか、そこまで続く真っ直ぐな一本道は砂利道では無く、白く細かい綺麗な石が引き詰められている。
ドラキュラ
「はぁ、遠いよ……馬車でも呼ぼうか?」
ミイラ男
「今降りたばっかりじゃん、運動不足のおじさんだね。」
ドラキュラ
「すんごい悪口じゃん……俺何かした?」
ミイラ男
「喋ってる間にすぐ着くよ、何か話題ないの?」
「うーん……」と顎を抑えて考えるジョシュアがハっと何か良い事を思い付いたように頭を上げた。
ドラキュラ
「じゃあモノ当てゲームしよう!」
ミイラ男
「何それ?」
ドラキュラ
「何でもいいから思い付いたことを相手に当てさせるゲーム。例えば、リンゴを思い付いたとしたら『赤い果実』とか『秋の果物』とかって伝えて、相手にその名前を当ててもらうの。」
ミイラ男
「うん、面白そうだね!」
ドラキュラ
「でしょ?じゃあ先にクリス君がお題出してよ。」
ミイラ男
「いいよ。じゃあ……出っ歯!」
ドラキュラ
「……え??いきなり?しかも出っ歯?ん~……出っ歯ってことは動物だよね。」
急遽思い付いた暇つぶしのゲームにも抵抗せずにのってくれる、クリスにはこういった順応さがある。そんなクリスが出したヒント「出っ歯」……きっと難問だろう、前歯の出ている動物など数え切れぬ程この世に存在しているのだから。すると後ろでそれを聞いていたウェアがゲームに飛び入り参加してきた。
狼男
「ネズミ!」
ミイラ男
「ぶっぶー。」
ドラキュラ
「ウサギ!」
再び首を横に振るクリスに片っ端から思い付くげっ歯類を言い当てるジョシュアとウェアだったが、十も数えぬ内に答えが尽きてしまった。ならば動物ではなく何か他の生き物なのだろうか?二人は「ん~……」と腕を組んで他の種族にそんな間抜けな見た目の怪物など居ただろうかと記憶を探った。
ミイラ男
「もう二人とも全然ダメじゃん。……答えはジョシュだよ。」
その答えを聞いた瞬間、ウェアが勢いよく噴き出した。
ドラキュラ
「え、ちょっと待って、今の聞き間違いだよね?」
ミイラ男
「お前歯、出てんじゃん。」
ドラキュラ
「これ犬歯ね!!その言い方だと前歯が出てるみたいじゃん……やめてくれる?」
狼男
「っはははは……やば(笑)」
ドラキュラ
「言っとくけどその理屈でいくとお前も出っ歯だからね!」
狼男
「……俺の犬歯とお前のニセモノと、一緒にしないでくれる?」
いぃー!と互いに犬歯 を見せびらかすジョシュアとウェア。背後で話を聞いていたザック達がケラケラと笑っている。
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