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第二話 そなたの帰りを待つ者 3

「………お久しぶりでございます、ジョシュア様。」  急に聞こえたその声に、クリス達は驚いて振り返った。肉食系がこれ程揃って居るのに誰一人として彼女の存在に気付かなかったのだ。 ドラキュラ 「あぁ、久しぶり。元気にしてた?」  微笑んだその娘の笑顔は人形のように美しく、人形のように冷たい。輝くブロンドの髪を後ろに束ね、ヘーゼルグリーンの透き通ったその瞳は見る者の視線を捕らえて放さない。ターナー家に仕える召使いの一人である、ジュリアだ。 ザック 「全く気配を感じなかった……。」 ドラキュラ 「うちに仕えてくれているジュリアだよ、ジュリー、彼らは俺の友人。親父は今家に戻ってる?」 ジュリア 「これは失礼致しました。はい、ご主人様は自室にいらっしゃいます。もうお坊ちゃまが戻られている事にはお気付きかと。」  「だろうね。」と呆れた様子で玄関のドアを開けた。ガチャン……。その音は玄関の開けた空間に響き渡り、四方八方に続く廊下にも響いた。まず目についたのは、三階建ての建物が三つ程はゆうに入ってしまう程大きな吹き抜けの玄関口。そしてその中央にあるそれはそれは立派な中央階段だ。 ミイラ男 「本物のお金持ち……。」  クリス達が言葉を失っている事には気にせずに、ジョシュアはタンタン……と中央階段を上って行く。ジュリアが彼らを客間に通すと、もう既に用意されていたティーセットを順番に各々の前に置いて行く。 ジュリア 「私達召使いも含め、このお屋敷に居る者は皆ヴァンパイアなのです。……なので皆様がこちらに向かっていらっしゃる事には先程から気が付いておりました。」 狼男 「なるほどね、だからさっきも全く気配に気付かなかったのか。」 ジュリア 「先程は失礼致しました。ジョシュア様がご友人をお連れになるなんて事は今までにございませんでしたので……もしや何者かに囚われているのかと勝手に思い違いを……」 狼男 「……もしそうだったとしても、この数相手に君一人で出て行くなんて無茶じゃない?」  そう心配するウェアに、フフフっとジュリアは可愛い笑顔をして見せた。ティーカップに茶を注ぐ細くか弱い彼女の手。何て無謀なことをする子だろう……その身に何かあったら、一体どうするつもりだったのだろうか?

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