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第三話 哀しき愛の子守歌 5

 ジョシュアの頬を流れる涙を親指でそっと拭う。そんなライアンの心の中にふと、ある言葉が浮かんだ。今まで何となくボヤボヤと浮かんでは消えていったその感情に、出来るだけピントを合わせないようにしてきた。そして今彼はあえて自らの心の中のファインダーをのぞき込み、弟へ対する気持ちを確かめたのだ。心の中にしっかりと浮かぶその言葉……。 「ジョシュ……俺はきっと……」  唇をしっかりとジョシュアの唇に重ね合わせると同時に、その想いを心の中のクローゼットにそっとしまい、扉を閉めて鍵を掛けた。 「……お前を愛してる。」  その心地よい鼓動のリズムは眠気を誘い、その肌の匂いにこの心は安らぐ。  まるでそれは、哀しい愛の子守歌のように……。

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