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第9話

【side 彰】 翔さんが緊張しないように そっと腰に手を当ててくれている 「はじめまして。松田彰と言います。 ディーンさんと翔さんに声を掛けて頂いて 色々お話しをさせて頂いて、翔さんの相手役を させて頂きたいと思いました。 全くはじめての事で、わからないことばかりですが、 頑張りたいです。よろしくお願いします。」 とりあえず 上手く挨拶できたかな? それは隣に翔さんが寄り添ってくれたからだ 翔さんがこっちを見て 頷いてくれる 「翔は、あきって呼んでるんだろ? 俺もそう呼んでも?」 「あっ… はい! もちろんです」 「本当だぁ あきは、表情が豊かでいいねぇ 今回の作品は、うちの会社とディーンさんのタイアップだ 緊張しなくてもいいよ!」 「はい。ありがとうございます。」 「さぁ、決まった! こっちではお姉さんが親代わりなんでしょ? 契約は後日お姉さんのお仕事の都合に良い日に来て頂いて 一緒に具体的に話させて貰うことになってるから!」 「えっ あ、はい わかりました」 「さぁ、で、早速だけど 来週の土曜日に相手役のお披露目をするよ! ストーリーとか他の共演者の発表はまたそのあとに 少しずつやっていく。あきは基本的な発声法とか撮影に必要な知識を 2週間くらいで学んで欲しい。 今、翔が撮影中の映画があるから時間がある時に 現場にも行って学ぶといいよ! 何もかもはじめてだろうけど、わからない時は 周りに頼ればいい!当面は翔のマネージャーが あきのマネージャーも兼任するから。」 そう言って、翔さんのマネージャーの渉さんを 紹介してくださった 翔さんが車で家まで送ってくれる ドアを開けくれたり ドリンクをさっと渡してくれたり 至れり尽くせりとはこのことだ 慣れない環境に疲れていたのか気づいたら まさかの眠ってしまっていた 「あき、着いたよ 起きれそう? ナビではここになってるけど… マンション、あってる?」 「はーーーーっ ごめんなさいっ! 翔さんに運転させて寝ちゃうなんて…」 「いいよ、そんなの 気もつかって疲れたでしょ 明日からお稽古も始まるし、今日はゆっくり休んでね。」 「はい!僕、頑張ります!」 「うん! あきなら大丈夫! ずっとついててあげたいけど撮影もあるし、ごめんね?」 「そんなっ それに翔さんがいると甘えちゃうから… 頑張ります! でも困ったら助けてください」 「もちろんだよ」 頭をポンポンしてくれる 翔さんの大きな手 はぁ…幸せだぁ… 「あき? もし大丈夫だったら、お姉さんに ご挨拶できるかなぁ?」 「挨拶なんていいですよ!」 「急にあきの環境も変えてしまうんだ それに、契約とかご両親の説得とか お姉さんには色々とお世話にもなるし、ご挨拶しておきたいんだ。 ちょっと電話して見てくれる?」 なんて優しいのか 気遣いもさすがだ お姉ちゃんに合わせるのはちょっと不安だったけど電話をした すぐにマンションの駐車場に降りてきた 「きゃーーーーーー 本物! 本物だぁーーーー あきらぁーーーーー」 「お姉さま、はじめまして 谷口翔と申します。この度は、大変急なお話しにも関わらず ご快諾くださってありがとうございました。 ご不安も沢山お有りでしょうけど、どうぞ宜しくお願い致します。」 ひたすら騒いでいる姉とは違って 翔さんがしっかり挨拶をしてくれる 「不安なんてないですーーーーー どうにでもしてやってください!  わぁーーーーー 夢見たいです 彰のことよろしくお願いします!」 「承知致しました。また会社の方から お姉さまの方にもご連絡をさせて頂きます」 「はい! わぁ 素敵」 お姉ちゃん もう頭の中お花畑 なのに翔さんは冷静だった 翔さんが 僕の方を見つめる 「あき、明日から頑張ろうな じゃぁおやすみ。ゆっくり休んで。」 「はい。翔さん おやすみなさい。 あのぉ…」 「ん? どうした?」 「心配だから、おうち着いたら 連絡して欲しいなぁ…って」 「ん わかった。じゃぁな」 そして僕の頭をまた優しく ポンポンすると 翔さんはドラマのワンシーンのように カッコよく車で去っていった 「彰!  なんであんただけ頭ポンポンされんのよーーーー ずるい!なんであんなにカッコいいわけ? なんであんたが翔さんの相手なわけ?」 部屋に帰っても しばらくテンションが高いままで 手がつけられないお姉ちゃんだった 頭をポンポンされる度 幸せがチャージされていくようで またして欲しいな と思っちゃうのはここだけの秘密

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