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「俺、お前嫌いだったんだけどさぁ」  不意に口を開くと、宮部はまたビクッと跳ねてそろりと躊躇いがちにこっちを見る。 「ズバっと言うね」 「んー?」 「いや……こんな面と向かって……」 「あー、悪意とかじゃねぇよ?単純に勉強ばっかして俺ら見下してんのかなぁ?って思ってただけだし」  言いつつメニューを手に取ると呼び鈴を鳴らした。  注文を終えてメニューを戻すと、胸を押さえて固まっている宮部が目に入る。 「ん?どーした?」 「クラスでもやっぱり嫌われてるよねぇ」 「は?」  ペンを手にすることもなくじっと膝を握ったまま動かない宮部。 「……なっ!ドリンクバー行くぞっ!」 「え!?あ、ちょっと待って!!わぁっ!!」  立ち上がってその腕を引くと、宮部は慌てて机の上のグラスに引っ掛かる。  そのグラスが倒れる前に俺の手でキャッチすると僅かに残っていた茶色が薄まって微妙な水になっているそれを持って宮部を引っ張った。  近くに居た店員にそれを下げてもらって新しいグラスをそのまま宮部に持たせるとドリンクコーナーを見つめる。  りんごジュースを注ぎながらいつまでも動かない宮部を振り返ると、宮部は軽く息を詰めた。 「そんな見つめられると照れるんだけど?」 「なっ!!」  茶化すとパッと赤くなって顔を背ける。  その反応がおもしろくてククッと笑うと宮部はメガネのブリッジを上げて勢いよく氷を入れると慣れたようにコーラを注いだ。 「意外だな」 「は?」 「コーヒーかと思った」 「む、村瀬くんこそ。りんごジュースなんて……」 「俺、炭酸飲めねぇんだよ」  俺たちは初めて二人で笑い合った。

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