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第6話

「おはよう亮ちゃん」 その声に目をうっすら開けると近くに整った顔。寝起きでそのクオリティーはズルいよなぁぁぁぁ。むしろチャームポイントかと思わせる寝癖もひたすらにズルい。 「亮ちゃん?目、覚めてる?動かないとチューしちゃうよ?」 「……………起きた!起きたから!おはよう俊」  見慣れたはずの顔に見とれてたなんて言うもんか! 「俺さぁ、トイレで処理しながら考えてみたんだ」 うん、トイレで処理…気を使う相手じゃないけど、生々しいかな。 「亮ちゃんだけに負担がかかる方法だけど、本当に俺との子供でいいの?膣化させて妊娠の準備が出来る身体になるには1年はかかるんだよね?その間、月1回は発情期がやってくる。妊娠しても、段々重くなってくるお腹。赤ちゃんがいる十月十日負担がかかるのは亮ちゃんだけなんだよ?まぁ俺も、支えていくしサポートするつもりではいるけど…」 最後の方照れてるんだか、ゴニョゴニョしてたけど、確かに通じた。 「僕はね、病院行きを決めた時点で覚悟は出来てるよ。俊とそういう事をする想像がいまいち具体的に出来てなかっただけで」 「亮ちゃん!正座して俺の方向いて!」 自分も正座して、僕の方を見つめる俊。いつも突飛だけど今度はなんだ…。 「亮ちゃん…いや、亮二さん。俺と結婚して、子供を産んで、居心地いい家庭を一緒に作ってくれますか?」 「…それって、プロポーズじゃん…」 「そうだよ!こっちもこっぱずかしいんだから、早く返事もらえる?」 「……僕で良ければ、お受け致します。で、いいのかな?ふはっ、寝起きで布団で正座して、変わったプロポーズのシチュエーションだけど、僕ららしいといえば…らしいかな?」 「そうかもね。今さらどこかに呼び出してするよりも、早く言わなきゃならないって気持ちだったから」 正座したままお互い目を合わせて笑った。  こういう瞬間。何も言わなくても亮ちゃんには伝わってるんだろうなって瞬間。他の誰かじゃ味わえない感覚。 「あのさ、ちょっと確認してみたいんだけど、昨日とろとろしてたお尻は今どうなってんの?ちょっと触らせて?」 「はっ?もう排泄器官に戻ってるから!まだ投薬1回目だし!投薬と服薬続けていって、膣化してる時間が長くなるわけだから、もう戻ってるから!」 「うん。それをちょっと確認してみたいから触らせてよ」 「なっ。ただのケツに戻ったから触んな!……もう少し膣化進んできたらな」 「う~ん、でも男同士はそこでエッチするわけだし、別に膣化してない時でも…イテっ」 しつこいからグーで軽く殴ってやった。 「もう少し膣化が進んでから!」 「あっ……はい」 この顔した亮ちゃんに逆らうのは得策じゃない。何でだろうなぁ、触ってみてもいいじゃん。  次の月の投薬からは、病院に一緒についていくことにした。別に病院くらい1人で行けるからって言われたけどさ、亮ちゃんにだけ負担がかかる事させてるんだから、付き添うくらいしたいじゃない。  投薬した夜には決まって発情期がくる。2ヵ月目、3ヶ月目はまだ亮ちゃんが心の準備が出来てないって言うから指だけで手伝って、痛くなった俺のちんこは自分で処理した。  妊娠出来る状態になるまでは1年。そろそろ一緒に暮らした方がいいだろうと親からも勧められてたから、子供が増えても大丈夫な部屋を見つけて引っ越した。二人で会社から出ても、一緒に帰る場所。  一緒に住み始めたんだから、毎日イチャイチャしてるんでしょ?って思われてるかもしれないけど、とんでもない。友達だった時期が長かったせいかな。夫婦よりも友達って雰囲気が強くて、俺が亮ちゃんに触るのは月に一度の投薬の日の夜くらい。亮ちゃんからはそんな雰囲気絶対出してくれないし。  そろそろ、もっと触りたい欲も出てきてるんだけど、一歩踏み出すのは勇気がいるんだよ。なんせ産まれた時から友達だったんだから。

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