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第4話

 朝食はシリアルでさっさと済ませて早めに出かけることに。邪魔者が来るのは大いな誤算だったが、嬉しい誤算も。  お昼は途中のコンビニででも買っていけばいいだろうくらいに考えていたのに、なんと、俊が早起きしてお弁当にとサンドイッチを作ってくれてたのだ。 「お昼に食べようね~、亮ちゃん。俺、ちょっとだけ奥さんらしい事できた?」って目をキラキラ輝かせて言うから、 「最高の奥さんだよ」って耳許で囁いといた。  そんな事普通のボリュームで目をあわせてなんか言えっかよ。恥ずかしい!綺麗な曇りなき俊の目を見てそんなこと…言えない!近づかなきゃ無理だ! 「わぁ、俊さんがサンドイッチ作ってきてくれたんですか!感激だなぁ、僕の為に!」 「おまえの為じゃねぇよ」  俺の運転で俊が助手席、崇はもちろん後部座席。助手席側の後部座席に座ってるってのが、ちと気に入らない。揺れた拍子に俊の匂いとか嗅いだらコロス!いい匂いとか感想言いやがったら運転席からでも即抹殺してやる。  現地に着くまでのんびりと座席に寄りかかって眠ってればいいものを、顔を俺と俊の間に寄せてきやがって、お前のシートベルトは意味を成してるのか?状態でご機嫌に喋ってる。 「僕のお弁当でもありますもんね。ねっ、俊さん」 「ん?崇は来るはずじゃなかったから亮ちゃんと俺の二人分のつもりで作ったから見た目悪いし足りないと思うけど三人で分けて食べようね」  俺の嫁マジ可愛いな…。サンドイッチの見た目が整わなかっただろう事は想定内だったからお手拭きを多めに用意した。もちろんごみ袋も。  ほんと、俊と俺はこれ以上ない程お似合いだと思うんだけど、隣の家の崇は事あるごとに俊を狙って邪魔しにやってくる。新婚ですって挨拶に行ったのにメンタル強すぎか。  そりゃ確かに、俺の方が少し、ほんの少しだけ崇より背も低いし、ほどよく筋肉のついたお前の身体よりは貧弱かもしれない。  けど、こちとら長い年月俊と過ごしてきたし、ずっと守ってきたって自信もあるんだ。俊だって俺が好きで結婚したんだ。  俊は、崇のことどう思ってるんだろう。俺以外がこんなに俊と関わるって初めてなんだ。好意を抱いてもおかしくないんじゃないか。そんなこと考えてしまう自分にいまいち自信がもてない自分 ももどかしかったりする。  ごちゃごちゃ考えてる間も2人は楽しく話してたらしい。俺に話しかけても無反応だったらしく運転に集中してるって思ったらしい。あっという間に目的地についてしまった。 「俊さん、お弁当入ってるバッグ持ちますよ」 「そう?じゃぁ持ってもらおうかな。亮ちゃん運転疲れた?途中から前しか見てなくて集中してたみたいだったけど…」 「あぁ、大丈夫だよ」 「亮ちゃん?なんとなく元気ない気がする…」 「大丈夫だって!」  ちょっとキツイ言い方だったかもしれない…。俊の目がビックリしてる。分かってるよ、崇に劣等感を感じてるんだ。それで、悪い方に考えてしまってる。俊にあたるなんて…。  負の連鎖じゃないか。いい空気の中で気分転換して優しくしたい。 「わぁ。澄んだいい空気。ねっ、気持ちいいよね。これだけでも気分がいいなぁ」 「ほんとですね。連れてきてもらって良かった」 「ねっ、亮ちゃん。亮ちゃん?」 「あっ、あぁそうだな。じゃぁ、二手に別れてふきのとう探そうか。俺こっち行くな」 「えっ、亮ちゃん待っ…」  亮ちゃん、行っちゃった…。車の途中から話さなくなってたのは、もしかして運転集中してるわけじゃなくて機嫌が悪かった?俺、考えなしだから何かしちゃったのかな…。

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