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第5話

 別にふたてに別れなくても3人でハイキングがてら楽しく歩いて、そのついでにふきのとう見つけられればいいなってくらいのお出かけだったのに…。  俺の事嫌いになっちゃったのかな…。  そんなの嫌だよ。それはない…よね。子供の頃からずっとずっと亮ちゃんと一緒で、これからも一緒が良くて結婚したのに…。隣にいないのは考えられない存在なのに。依存しすぎてる俺の事が嫌になっちゃったのかな…。 「俊さん?行きましょう?」  そうだ、崇も一緒に来てたんだ。せっかく着いてきてくれたのに暗い雰囲気で山を歩くなんてガッカリしちゃうよね!  とりあえず崇と明るくふきのとうを探すことにしよう!歩いてれば亮ちゃんと合流できるかもしれない。 「うん!行こうか!」  この山はそんなに険しいとこもなく、見知った動物が出てきては俺に挨拶してくれた。  冬眠から覚めた熊が出てきた時は、さすがの崇もビックリしてたけど、友達のくま君だよって紹介したら少しホッとしたみたいだった。俺の服の裾を掴んでくま君に決して背中を見せないようにしてたけど。  普段年下だけど、大人ぶって見せるから、可愛い面も見られて楽しい気持ちになる。弟がいたらこんな感じなのかな。  でも亮ちゃん。やっぱり亮ちゃんがいないと、何か足りない。はぁ、ダメダメ、崇に失礼になっちゃうよ。でも亮ちゃん…。 「危ない!」  「わっ」  亮ちゃん今どこを歩いてるんだろう…って考えながら歩いていたら、つまづいてしまった。 「俊さん気をつけて下さい。心配で目が離せない人ですね」 「うぅ、ごめん」 「亮二さんの事が気になってるんでしょ?ふきのとうよりも亮二さん探しましょう。俊さんなら動物たちに聞けばすぐに居場所分かるんでしょ?」 「うん…ごめんね崇…」  「あんまり謝られると惨めになるからやめてくださいよ。僕は隣に越してきた新婚さんのあなた達2人とも好きなんですから。多少亮二さんをからかってるとこはありますけど」  そう言って崇は年下らしいイタズラな笑顔を見せた。  山には俺の友だちが沢山。鳥たちに助けてもらうことにする。 「お願い、亮ちゃんを探して。場所を教えて」  一応、スマホのフォルダに入ってる亮ちゃんの画像を見せる。あはっ、探さなくてもフォルダの中は亮ちゃんでいっぱいだ。  二人で撮った写真もたくさん。  季節が変わって、年が変わっても亮ちゃんだらけだ。 「俊さん、泣かないで下さい」 「うん…」 「亮二さんは少し拗ねてるだけですよ!大丈夫、俊さんの笑顔でまたすぐ機嫌直るはずだから」

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