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オメガナイト

煌びやかなネオン。賑やかな街の音 特に今日は、特別な夜。  Ω地区に入るには登録済みのIDの確認。店に入る前にも、αは、IDチェックと抑制剤を飲む。 「入店前に、こちらの抑制剤を飲んで下さい。」 店に入る前に、その場で、二錠渡され受付の目の前で飲む。口の中も確認され、ちゃんと飲み込むまで、中には入れない。 ここで、誤魔化したり拒否する様な事が続くと、そのαはΩ地区への出入りが出来なくなる。 「口開けて・・・クリア。中に入っていいですよ。 ようこそ、東堂様。お連れ様達は先に入店されてます。」 「ああ、ありがとう。」 店の入り口は2つ。Ωとβ用の扉。α用の扉。中扉から階段で下へ降りて行く。 十数段の階段なのに、随分と長く感じるのは内装がもたらした効果と・・・ 「・・・甘い匂い?」 微かに、甘い香りがする。 初めて嗅ぐ香り・・・けれど、嫌じゃ無い。いい香りだ。 中は思ったよりも狭く、バーカウンターとテーブル席が3席。 仕事先の相手達も奥のテーブルに見つけ、店内で1番明るいカウンターに視線を向けた。 カウンターの人物を見た瞬間、気持よりも先に、身体中の細胞が喜んだ気がした。 公平おじさんの家に戻り、持ってきた荷物を仕舞っていると、おじさんに声をかけられた。 「ミヤ君、検診はどうだった?」 「うん、問題ないって。」 洋服をしまいながら、答える。 「・・・ミヤ君? 本当に大丈夫だった? ・・・マンションに寄ったんだろ?」 尊の服を持っていた手を、取る。 「・・・大丈夫だよ。ほら、音羽先生も店に出ても良いってさ。」 ポケットから、検診結果が記録されたカードを取り出す。 「・・・、尊。もし、何かあったらすぐにキッチンに入るんだよ。」 「うん。わかってるって。」 握られていた手に、自分の手を重ねる。 って、言ったのはいいけど・・・。 店の雰囲気は全然違かった。客の大半がα。βの人間も少し居た様だけどαと違いΩの誘発香には反応しない為、抑制剤は飲んではいない。それでも、普段関わらないαの姿にどこか浮かれていた。 それに比例するように、ドリンク類が次から次へと売れて行く。 グラスを回収する度に、チップやナンバーを渡される。 チップはありがたいが・・・、ナンバーは即ゴミ箱行き。 なんか、忙しだけで別に何も変わらないな・・・。 そう思い始めた時、入口の方から身体の奥から熱が灯る様な感覚に導く、香りが流れてきた・・・ 「い、いらっしゃいま・・・せ・・・。」 入口を見た瞬間 何かが弾けた気がした。 「あ・・・。」 思わず、持っていたトレイを落としてしまう。 ガッシャン 店内にけたたましい音が響く中、二人の男がその場から走っていった。 グラスが音立てて粉々になったが、そんな事を気にする余裕も無かった。 キッチンの方に走って行く尊 それが本能と言わんばかりに、東堂は逃げる尊を追いかけた。 そのまま、キッチンまで追いかけ、貪るように尊に口付けた。 キッチンの壁に追い込まれ、伸ばされた腕に囚われる。頭を捕まれ顔を見る間も無く、尊の唇を奪っていく。 ん・・・ふぁ・・・あ・・・ 息が・・・苦し・・・ 「鼻で息しろ。」 「え・・あっ・・・。」 小さく開いたそこから、まるで待ち構えていたかの様に中に最初は優しく。 それに反応し、拙い動きで尊も答え始める。それが合図かの様に、更に激しく口腔内を蹂躙される。 クチュ・・はぁ・・・あ・・ん。。。 脳内に水音と2人の息遣いが響く あ・・・ 離れ・・ちゃう・・・。や・・だ・・。 そう感じた時には、尊の腕は自分にキスをしてきた男の首に絡みついて引き寄せていた。 ん・・・飲み込めきれなかった、唾液が唇から溢れる。それを舌で舐め取られる。それだけで下半身が疼き始める。体が離れる。それすらも、嫌だった。離れないで欲しい。 「このまま、お前を連れて行ってもいいか?」 手が、髪をかき混ぜ尊の顔を押さえ口付ける。 「ん・・・連れって行って・・。」 息継ぎの合間に、そう答えたが・・・ そこからどうやって、ここまできたかは覚えていない カードキーで中に入った バーから一番近くのホテル。そこの最上階 いかにもすぎるシチュエーションに、頭の片隅で驚く自分がいたがそれよりも今 この男が欲しくて堪らない。 オレのα そう、身体が求めている。けれど、心は何処か冷静だった。 離れて行く熱に寂しさを感じるが、こんな出合ったばかりの相手に発情してしまう自分をあさましくも思う。けれど・・・今はこのαが欲しい。 部屋に入るなり、後ろから抱きしめられる。 そのままの体制で、キスを貪られる。 っふぁ・・・あ・・・ 首筋のネックカバー、鎖骨・・・舌がなぞる。 バーの制服のベストのボタンがはずされ、シャツの前がはだけていた。 自分でさえも触った事のない、それが小さくこれから与えられるであろう刺激に期待して色づき始めていた。 それに、気がついたのか男はその小さな蕾を舌先でかすめ、もう片方を指で撫で上げた。 んん!! 身体が小くそれでもしびれる様な刺激に思わず声が漏れる。 両方同時に刺激され、身体がのけぞる。 「・・・気持ちいいんだ。」 耳元でそう囁かれて、腰に甘く痺れる。 「こ、こんなの・・・怖い・・・。」 「怖い? どうして?」 「だ・・・だって・・・、オレこんなの・・・あっん。」 蕾が指先で弾かれ、摘まれる。薄桜色だったそれが段々と色濃く鮮やかな色へと変わっていく。 「ここだけで、こんなに感じてるのに?まだ、怖い?」 「や・・・恥ずかし・・・。こんな・・・初めてで・・・ぁっん」 その言葉に、今度は最初から深く全てを絡める様なキスをされる。 口付けられたまま、ベットまで運ばれる その時、初めて、尊は自分の上で服を脱ぎ捨てている男の顔を直視した。 「き・・・君は・・・あっ!!!」  尊の心臓が止まるんじゃないかと心配するほど、鼓動が早くなった。 まさか、キスの相手が・・・ 服を脱ぎ捨て、自分を見る瞳に、身体がベットに縫い付けられた様に動かなかった。 自分とは違う、整った男の身体。男も興奮してしているのか、ズボンの前がキツそうになっている。 その事に、身体も心も反応してしまう。 あの彼が、オレに欲情している・・・ そう思ったのが、通じたのか・・・、男が覆いかぶさってくる。 逃げ場のない口付けに、あふれる唾液さえも甘く感じる。もっと、もっとこの男が欲しい。 「・・・ああ、ここもこんなに濡れてる。」 クチュ・・クチュ・・・ 「あ!!」 検診でしか、触られた事の無い秘部に触れられる。 期待で溢れ出た蜜で潤ったそこの入り口を解き開く様に指でなぞられる。 「お、オレ・・・その・・・そこは・・・まだ・・・」 「知ってる・・・。」 ん・・・ 口付けられ、紅く熟れた蕾も一緒に弄られる。 与えられる快感に、まだ一度も触れていない尊自身からも滴が溢れ始める。 いつの間にか、尊の着ていた服は全て脱がされて入口をなぞっていた指は、すでに二本 尊の中を味わうかの様に出入りを繰り返していた。 その間に、すでに尊は三度達ていた。その蜜で、前はぐちょぐちょに濡れ おさえの効かない涙が顔を濡らしていた。 「泣くなよ、悪いことしてる気になるだろ?」 「だって・・・あ・・、も・・わか・・・ない・・・。き、キスして・・・」 ついばむ様なキスから、徐々に深く それと同時に、指が3本に増やされる。 「ンンンン!!!」 指が中を広げる様に動かれる。 「・・・そろそろ、オレも限界だ・・。」 指が引き抜かれ、その指についた蜜を見せつける様に舐めあげる。 苦しそうになっていた、それが尊の前に出される。 男の匂いに、誘われる様にそれに唇を這わせ舌で、弾力のある先端部分を舐め始めた。 「ん・・・。あぁ・・、尊。こっちにお尻向けて・・・。そう・・・いい子だ・・・。」 咥えたまま、男の顔に跨る様にお尻を向けると、今度は男の舌が中を味わい始めた。 手は前を可愛がり、中は舌で解される。 「あっ、ああ・・・、だ、だめ・・・そんな、同時に・・」 思わず強すぎる刺激に咥えていたモノが口から離れてしまう。 口の中からそれの圧迫感が無くなる事に切なく感じ、また自ら咥えに行ってしまう。 「尊、入れるよ。」 そう言って、正面から抱き合う形に体勢を変えた。 蕩け切った入り口に、さっきまで自分の唇で味わっていたソレを押しつけられる。 トロトロに溶け切っていた部分に、自分のものとは別の熱を感じる 痛みはなかったが、圧迫感が強かった。 「う・・ん・・・来て。」 その言葉と同時に、奥まで一気に挿入される。 「あああっ!!」 男性体のΩには女性体と同様に処女膜がある。 それが、奥まで挿入された時に、裂け出血をした。流れ出る血液が更に滑りを良くし、ゆっくりと挿入を繰り返し始める。破瓜の痛みはなかったが、圧迫感とそのモノの熱に痺れていた。 だんだんと、尊の漏れ出てた声も艶を増し、今はもう喘ぐだけになっていた。 「あっ・・あん・・・。 と、東・・東堂・・・も、もう・・・い、イっちゃう・・」 尊が、自分を抱いている男の名を初めて呼んだその時、今までよりも更に深い所を攻められる。 「や・・・ん。。これ、深かい・・・あん・・。と、東堂・・も、ああ」 「ああ、オレももう限界。」 そう言って、2、3度 尊を突き上げ、東堂自身も尊の中で果てた。 「あぁ・・・!!」  中で暖かいモノを感じ、次の瞬間には中から抜かれ。 なんとも言えない喪失感に、身体が寂しさに一瞬震えた。 それも、ほんの一瞬。すぐに、東堂の男らしい身体に抱き寄せられ、額に、瞼に・・・唇にキスが落とされる。 その腕の中で、安心した尊は、深かい眠りに落ちた。 朝、目が覚めると自分の腕の中に、安心し切った顔で寝ているあいつがいた。 まさか、リストを見たその日に会えるとは思っていなかった。 それも、こんな事になるとも・・・。 あの日、接待で指定された店は、Ω地区でも優良店として指定されていて、IDチェックや徹底した入店管理をしてるのは知っていた。だから、面倒に思うαやβは他へ行くため、安心して飲めるとΩに人気だった。その為、Ωに用の無い俺は今まで一度も入った事がなかった。 こんな所で会えるなら、普段から入ってみれば良かった。そう、少し後悔したが腕の中の温もりに、まだ夢の中にいる様だった。 店に入るなり、抑制剤を飲んだはずの身体が、フェロモンを感じ取った。 今までも、何度か発情したΩのフェロモンの香りを嗅いだ事があったが、ここまで身体が反応することなんてなかった。 それが、中に入った途端にこいつが運命だと身体中が叫んだ。 あとは夢中で、追いかけていた。 シーツに残る事情の痕が、昨日まで誰とも交わった事が無かった証拠。 その事にも、自分では予想していなかった以上に身体が反応した。 それに・・・ 「俺のこと、知ってたんだな・・・。」 フェロモンに反応して、誰でもよかったんじゃ・・・ 自分の事を抱いてる男の名前も興味がないのか・・・なんて馬鹿な事を考える前に、名を呼ばれた・・・その事が嬉しかった。 寝ている、尊の頬にキスを落とし、顔に掛かってた髪を避ける 「俺はもう、お前を絶対に諦めないからな・・・。」 そう言って、寝ている尊にまたキスをした。 なんだか腰がだるい・・・。

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