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クリニック

東堂を思い出すだけで、顔が熱を持ってしまう。 きっと、おじさんにはバレバレなんだろうけど・・・嫌だという気持ちは一切わかなかった。 むしろ、早く東堂に会いたい。そう心から思っていた。 Ω地区の少し外れたところに、先生のクリニックはあった。 確かに いつもの病院より、自宅にも店にも近い・・・。 外観も、お洒落なマンションで一見すると見落としてしまいそうな、小さなサインプレートが入り口に置いてあった。 ロビーでインターホンを鳴らすと、オートロックが解除された。 ドアを開けると、見慣れた白衣をきた先生に出迎えられる。 「いらっしゃい。ミヤ君と・・・彼氏さん?」 彼氏と聞かれて、一瞬 尊が躊躇してしまったのに、東堂は被せる様にして答えていた。 その様子に音羽先生が、嬉しそうな顔をした。 「・・・あ、あの・・・。」 「はい。今日はよろしくお願いします。」 通された部屋は、部屋の真ん中にベットがあり、パテーションで区切られた場所にソファーとテーブルが置いてあった。  先に、ソファーに座る様に促され、先生がお茶を出してくれる。 「・・・そんなに緊張しなくていいよ。 今日は、彼に内診を覚えてもらうだけだから。」 「・・・は、はい。」 その言葉に、東堂が尊に視線を向ける。その視線が熱っぽく感じるのは、気のせいだとは思いたくない・・・けど ひぃ・・・。視線が、痛い・・・。というか、恥ずかしい。思わず、俯いてしまうと、今度はつむじに視線を感じた。 「はいはい!」  パンパン  先生が、手を叩いながら2人をベットのある方へと誘導した。 「じゃ、ミヤ君はいつもの様に下、全部脱いでベットに横になってね。 ここはあの台ないから、膝立ててね。 彼氏さんは・・・っと、名前は?」 「・・東堂・・高雅です。」 一瞬、東堂の名前に驚いたが、すぐにいつもの様子に戻る。 「東堂・・・そう。よろしくね。それじゃ、消毒してこれつけて。」 そう言って、ラッテクスグローブを手渡す。 質の良いベットに横になり、タオルケットをかけて2人を待つ。 ・・・こ、これはこれで・・・なんか、緊張してくるんだけど・・・。 自分の心臓の音がどんどん大きくなっていくのがわかる。 パテーションの向こうで、先生と東堂が話しているのが聞こえる。 「準備はいいかな〜。恥ずかしかったら、タオルケットで顔隠しててもいいからねぇ〜。」 そう言って、尊の足元に先生と、東堂が立つ。 「じゃ〜、足立てて。 そう。 東堂君は、そこに座って。中ほぐして。」 「あ、はい!」 質の良いベットが、2人の重みに少し沈む。 その重みに、尊の足に少し力が入ってしまう。 は、恥ずかしい・・・。 言われたとおりに、顔まですっぽりとタオルケットをかぶって心を無にすることに集中する事にした。 「ってか、見事に貫通したんだね〜。ミヤ君のここ、硬くて大変だったんじゃない?」 「いや・・・そんな事は・・・。」 ローションを片手に、先生が東堂の手元を覗き込む。 「あれ? こっちも、使ったの?」 チラッと、東堂の顔をみる。 ガッツいた自覚はあるが、まさかこんなにあからさまに指摘されるとは思わなかった東堂の顔がみるみる赤くなる。 急に手が止まった事に、ちょっと不安になり尊がタオルケットから顔を出すと、赤くなっている東堂を見てしまう。 キュン・・・ ぇっ・・・あ・・・やば。 クチュ・・・ 触れていた、東堂の指先を受け入れる様に尊の中が濡れ始めた。 「・・・なるほど、これは、ローションいらなそうだね〜。」 先生の声が笑いを含んだ。 中が濡れて、覚えたての感覚を思い出してしまう。 東堂の指が、すんなり入っていく。 先生が見てるのに・・・。は、恥ずかしい・・・。 恥ずかしがる尊を横目に、先生は東堂に指示を出した。 「うん。そう、そのままもう少し奥に子宮が・・・ああ、君の手なら・・・そう、わかる?」 先生は指示だけで、実際に尊の中を触っているのは東堂の手。その事に、無意識に尊の体は安心していた。が、それと比例するのように尊のそこは蜜が溢れ出してきていた。 「・・・はい・・。多分。」 「そこが、ヒートが来ると開くから・・・その時の着床率はほぼ100%だから、望まないなら常に、避妊はするか・・・こっちだな。」 そう言って、下の穴を指差す。 東堂の視線を感じた穴が思わずひくついてしまう。 そんな、反応に先生はもう笑うこともなく淡々と、東堂に説明していった。 「ここは、構造的に分泌液は出ないからちゃんと、潤滑剤を使ってほぐす様に。無理やりは絶対にするなよ。」 東堂の指が、秘孔の縁をなぞり、ゆっくりと指を入れていく。 「はい・・・。」 なぞられ、誘うように動いてしまってるのも尊自身気がついた。そこに、東堂の指が入れられ中が見えるように少し開かれる。 尊からは見えないのに、東堂の視線を感じてしまう。  その様子に、先生が今度は笑った様だったが、東堂は気にせず中へ指を進めていく。 「αが本能に飲まれたら、Ωの抵抗なんて蟻の様なもんだ。・・・・うん。傷もないね。ヒダも綺麗だし、ちょっと腫れてるっぽいけど・・・昨日だっけ? 随分、丁寧に抱いてもらったんだね。」 尊の膝を先生が撫でる。 「・・・。」 東堂は終始無言で、先生の様子を見ていたが、尊は、ついに言われた事に耐えられず、頭までタオルケットをかぶってしまう。 その様子に先生が笑ってしまう。そのまま、東堂に顔を近づき囁いた 「もし、ミヤ君に傷でもついてたら、君のそれ、切り落としてたよ。」 先生の足が、東堂の股間を撫でた。 「!! ちょっ、あんた!!」 先生はくるりと、体を翻し今度は、尊の方に近づいた。 「さすが、若いなぁ・・・。 ミヤ君、中は綺麗だし、感度も良くなってる。初めての彼と相性は良さそうで何よりだよ。次は、定期検診で病院に連れておいで、血液検査もするから。」 「え・・・。はい。」 先生はいうだけ言って、白衣を脱ぎ始めた。 「んじゃ、ここは2人とも後1時間は好きに使っていいよ。 オートロックだから、時間になったら帰ってね〜。 あ!! 避妊だけはしとけよ。 そこの引き出し、右二番目がお前のサイズだと思うから。」 「「・・・え・・・!!!」」 そう言って、先生は部屋を出て行ってしまった。 残された2人に、変な空気が流れる。  変な先生だとは思ったけど・・・まさか・・・本当に・・・変な先生だった・・・。 呆然としてた尊の意識を引き戻したのは、東堂だった。 グチュ・・ 「え!! あ・・・、と、東堂・・・あ・・。」 「悪い・・・、ずっと我慢してた。」 入れられていた、指の本数が増やされ、舌が中の蜜を舐める。 「ちょ・・・あ・・・・だ、ダメ・・・そんな・・・いっぺんに・・・」 「何で? ここはそうは言ってない。キュウキュウに絡みついて、俺の指を離さないけど・・・?」 触診中、一度も触られてない尊自身の先端からも、蜜が溢れ始める。 東堂の掌が包み込み、扱かれ、舐められる。 中にも指を入れられ・・・、一片に快楽が与えられる。 「と、東堂・・・そんな、全部・・いじっちゃ・・・ああぁん」 イキそうになるのを根本を掴まれ、阻止される。 何度か、同じ事を繰り返され、最後は懇願する形で尊は喘いでいた。 「も、お願い・・・入れて・・・東堂の・・・は、早く・・・。」 「ああ、俺も中に入りたい・・。」 そう言って、入れたのは後ろの孔だった。 「ひゃんっ! そ、そっちは・・・あ・・やっっ」 「さっき、前立腺の場所、見つけたんだ・・・。ほら・・・ここ。」 あああああっ・・・ 一気に刺激され、尊が果てる。その衝動の刺激に、東堂も中で果てた。 「・・・、サイズがぴったりってのが癪に触るけど。あの先生、いい人っぽいな。」 引き出しの中にあった箱を眺めながら、思わず口から不満が漏れたが、そのまま尊を抱きしめ、キスをした。 あ、甘ったるい!!! 後ろから包み込まれる様に抱きしめられて、旋毛にキスをされる。 嫌な訳じゃないが・・・、こういう事をしたのも全部、この男が初めてなのでどうしたらいいかいいのか判らない。 こんなに愛おしそうに抱きしめられたのも、家族が亡くなった時におじさんにされた以来・・・。 それを、まさか・・・ あの東堂に与えられるとは・・・。 高校時代の東堂からは想像ができなかった。 東堂の噂は、学校にいる時は勿論、卒業後も耳にすることがあった。 親の会社は継がず、在学中に起業したとか・・・。 付き合う女はβでもαでも、来るもの拒まず、去るもの追わず・・・ けれど、Ωには一切近寄る事はないとか・・・ 昔、高校近くでΩがヒート事故を起こしたのに遭遇した事があった。 その時、自分はβだったから、それがどんなものかは判らなかったけど、そのΩの周りには人集りができていた。 その時に、東堂を人集りの中で見かけたけど・・・ ・・・あの時の顔は忘れられなかった。 もし、自分があの顔を向けられたらと、思うときっと立ち直れない。 あの時の顔を思い出して思わず、抱きしめられていた腕にすがりついてしまった。 ベットの先にあった時計に思わず、言葉が出てしまった。 「・・・そろそろ、ここでないと・・・。」 その言葉に、東堂が尊の手に自分の手を絡ませながら首筋にキスを落とす。 「そうだな。・・・飯でも行くか?」 何度もキスが繰り返される。 ついに、くすぐったくなった、尊が東堂と向き合うと、そのまま唇にキスが落とされる。 離れた唇から、自分でも思っていなかった言葉が尊から溢れていた。 「それなら・・・うちに来る?」 「・・・いいのか?」 そう言いつつも、東堂の腕に力が込められた。 離れたくない気持ちが伝わり、再び熱を持ち始めてしまう身体を無理やり奮い立たせるかの様に、東堂は一度深く口付けるとベットから降り、尊を横抱きに抱えバスルームへ連れて行った。 クリニックを出ると、2人はスーパーで惣菜や出来合いの物を買って、尊の借りている部屋へ向かった。 マンションのオートロック横の郵便受けに、東堂は尊の名前を見つけた。 「・・・郵便いいのか? なんか、届いてるみたいだけど?」 「・・・うん。気にしないで。」 声が少し震える。 尊にも、白い封筒が郵便受けに入ってるのが見えたが、今はそんなモノ見たくない。 そう思ったのに・・・ 部屋の前に、来て足が止まってしまった。 オートロックなのに・・・何で・・・。

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