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αはモテる

やっぱり、東堂はカッコイイよなぁ・・・。 ・・・今日は、いつものホテルじゃ無いのかな? 尊が車から、中の様子を見ていると、店内にいた女も男も、店員も・・・ その視線が東堂に注がれているのがわかったが、注がれている本人は、全く気にも停めていなかった。 その様子に、高校時代を思い出した。 高校の時も東堂は、視線を集めていた。 けれど、彼はそれに一度も答える事はなかったが、彼の色々な噂は何度も耳にした。 「また、東堂の奴、女変えたらしいぜ。」 「マジ? 3日前に変わったんじゃ無かったか?」 「やっぱ、α様は違うよなぁ。下半身、動物だわ〜。」 ・・・飽きっぽいのか?  まぁ、オレには関係ない話だけど。  なんて、あの時は思ってたけど・・・・。 そんな男と自分が付き合うとは思わなかったよなぁ・・・。 なんて、昔を思い出しながらぼーっとしていたら、いつの間にか東堂が車に戻ってきていた。 「お待たせ、どうかした?」 コーヒーを手渡しながら、頬にキスをされる。 「ありがとう。」 そう言った尊の唇にも東堂はキスを落とす。 また、キス・・・。 東堂と付き合い始めて、何かとキスをされる様になったけど・・・ これってやっぱり、普通なのかな? 思わず、キスをしてきた唇を目が追ってしまう。 ちゅっ 「そんなに見られると、ここで尊の事ほしくなるんだけどイイの?」 目で追ってしまった唇が、尊の耳朶を喰みながら東堂がそう囁く ここ? 少ししてここが往来だった事に気がつく。 覆い被さろうとした、東堂の体を慌てて、押し返すと笑いながら、離れていく。 「そう言えば・・・、今日は、いつもの所じゃないのか?」 買ってきてもらったコーヒーを飲みながら、尊は東堂に今日の目的地を確認した。 「あ、ああ。 いつも、外で飯だったから・・・」 そう言って、東堂が連れてきたのは自分のマンションだった。 「え・・・・、ここ・・・」 駐車場から、そのままエレベーターに乗り込んだから到着フロアに着いてから、ここがレストランや、ホテルじゃ無い事に気がついた。 急に足を止めた尊の様子に前を歩いていた東堂が振り返る。 「どうかしたか? あ・・・、週一で業者入れて掃除はしてるけど・・・。ちょっと仕事立て込んでて、ちょっと散らかってるかも・・・。」 「え? あ、ううん。気にしないよ。」 そう言って笑った尊を見て、東堂はカードキーを差し込んだ。ドアを開けるとモデルルームの様な部屋が広がる。ダイニングテーブルの上に少し書類が置かれていたが、それを差し引いても自分の部屋よりも遥かに・・・ 「ひ・・・広いな・・・。」 「そうか? ここには寝に帰るくらいだから・・・、まぁ、この眺めには拘った。」 東堂はテーブルのリモコンを手に取るとボタンを押した。 ピッと軽い電子音と共に、カーテンが静かに開いていった。 「うわぁ・・・綺麗! 」 目の前の窓の外に夕日が沈む景色が広がった。 「だろ? この景色に一目惚れしてさ・・・。」 「確かに・・・この眺めはずっとみてられるな。」 窓に張り付いて見ている尊につい東堂の口元が緩む。 リモコンをテーブルに置いて、東堂はそのまま、キッチンへ進んでいくと冷蔵庫から下準備をしたバットと鍋を取り出す。 鍋を温め始めると、部屋に食欲を唆る香りが景色に釘つけになっていた尊の元に届いた。 その香りに、誘われるように尊もキッチンへ入っていく。 「・・・、東堂? 何してるんだ?」 カフェエプロンをした、東堂の姿に一瞬見惚れてしまう。 すぐに、気を取り戻して東堂が用意してた、フライパンの中身を覗く。 「うわぁ! 凄い・・・これ、東堂が?」 「ああ、料理は、好きなんだ。・・・ほら、もうすぐ出来るから、これ持って座ってろよ。」 用意してあったワイングラスとワインを尊に持たせ、頬にキスをする。 キスされた頬が薄く色ずく。 その様子に東堂は笑みを浮かべるだけで、すぐにフライパンへまた視線を戻した。 「わかった。」 頬を赤くしながら、尊は見渡しの良いテーブルにワインを置いた。 何気なく、テーブルの上を見ると見覚えのある封筒を見つけた。 あ、これって・・・。 『ブリーディングリスト在中』 個人情報の中でも、かなりプライベートな事だけど・・・、こんな所に無造作すぎない???!! って・・・封が空いてる? ええええええ!!!!!!!! ちょっと・・・東堂?! 目の前に、封の空いている封筒に慌ててしまう。 αもΩもこの書類の取り扱いには注意するように記載されているのに・・・・ こんな雑に・・・けど、これ開封されてるって事は・・・。 誰かと、ブリーディングした事・・・・あるのかな? チクン なんだ?? 今、胸が痛かった様な・・・???胸・・・?  ん????  ぐぅぅぅぅぅぅ・・・ お腹すきすぎたのかな? タイミング良くお腹がなったせいで、一瞬感じた痛みの事はすぐに何処かへ隠れてしまった。 両手に、いい匂いをさせた料理を載せた皿を持ちながら、東堂がなんともいい表せない顔をして固まっている尊の旋毛にキスを落としながら、声をかけた。 ちゅっ 「待たせたな。」 「あ、いや、そんなには・・・・」 ぐぅぅぅ・・・ 尊のお腹が鳴ったのと同時に、東堂がキスをする。 その手に持っていた料理はテーブルに置くと、東堂の視線が尊が手にしていた、封筒を見る。 「あぁ、それ? 処分するの忘れてた・・・。」 東堂が封筒を手にとり、そのままゴミ箱へ入れた。 「え・・・いいのか?」 「? 必要無い。」 「そう・・・。って・・・、シュレッダーかけないと!!」 「そうなんだ。・・・それより、早く食べないか?」 目の前に置かれた料理から、食欲を増進する香りが鼻腔をくすぐる。 東堂に促されテーブルに着くと、ワインを注がれる。 「え? ああ、凄い・・・。美味しそう。」 「口に合えばいいけど。 ワインも尊の好きそうなの選んだつもり何だけど・・・どうかな?」 「いただきます。」 「召し上がれ。」 そう言われて、一口。尊が口に運ぶの見ながら、東堂が自分のグラスにもワインを注ぐ。 「・・・え、ウマ! あ、このワインも飲みやすい・・・。」 尊が次から次へと口へ運んでいく様子に、ワインを呑みながら、ニコニコと笑いながら東堂は見ていた。 「それはよかった。」 その様子に安心した、東堂も食事を始める。  「・・・なんか、意外だな。」 「何が?」 「東堂とこうして食事してるのもだけど・・・その料理が、東堂の手作りって・・・。」 また、一口。口へ運んでいく。 もしかすると、自分よりも美味しいかもしれない。 キッチンがメインでは無いにせよ、飲食店で働いている自分よりも・・・料理がうまいのは、なんだか地味に悔しいかも。 思わず、唸りながら尊は食べ進めていってしまう。 その様子に、東堂も一瞬唖然としてしまう。 「まぁ、下手よりはいんじゃないか? こうやって誰にも邪魔されないで過ごせるし。」 うぐっ・・・。 「・・・ほんと、東堂のそういうとこ・・・。一体何人の人に言ってきたんだか・・・。」 照れ隠しから、思わず嫌味っぽく言ってしまった。 窓に、自分達の姿が映っている。 さっきのリストで紹介されたΩにも、もしかして? チクン・・・ さっき感じた痛みがまた、胸のあたりでする。 尊は手にしていたワインを一気に飲んでグラスを置くと東堂と目が合った。 「・・・気になる? ここに連れてきたのは、尊だけだよ。」 「え?」 その言葉に、尊の顔がどんどんと熱を持ちはじめた。 は、恥ずかしい・・・。 な、何なんだよ。もう!! あんな顔で見てるとか!!!!! 「あ、あっそ!! 別に、東堂は昔からモテてたし、気にしてないから。」 「え・・・?」 尊の何気なく言った言葉に、今度は東堂が驚くが、すぐに表情を作って尊の空のグラスにワインを注いだ。 「・・・? 東堂、どうかした?」 「いや・・・。 ほら、ワインのおかわりもどうぞ。」 「うん。 ありがとう。」

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