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君は僕のモノ1
東堂もまた、バスルームから漏れ聞こえる水音に安心したのと同時に、これだけの生活音が漏れ聞こえる事に、あの男が聞いていたんじゃないかと思うと嫌悪感を抱いた。
警察からの報告では、尊の部屋には何個か盗聴器とカメラがついていた。
どれも、電源を供給できる様に細工されていたが、電波を飛ばすタイプのもので近くで受信をしないといけない物だった。部屋に忍び込んだあのΩは、自分ではないと一切認めなかったらしいが、警察は早く事件を終わらせたい為に全てあのΩの所為にして処理をしたらしい。
「おーい、高雅? 聴こえてるか〜?」
「あ、ああ。聞いてる。」
「全く、オレも暇じゃないんだからな〜!!」
電話の相手がワーワー騒ぐ。
眉間に皺を寄せながらも、面倒くさそうに相槌を打つ。
「はいはい。で、前に頼んだ結果は出たのか?」
「ああ、出たから今日お前の部屋に持っていくよ。それに、あの子にも会いたいし〜」
「はぁ? 別に今言えば良いだろ・・・。」
あの子に会いたいと言われ、より一層眉間に皺がよる。
若干の怒気を含みながらいうと、電話の向こう側では苦笑する声が聞こえる。
「だーから、オレも暇じゃないんだって。 これから一件、頼まれてんだわ。」
相手の声色が真剣な物になったのと同時に、シャワーの音が止んでいる事に気がついた。
「はいはい・・・っと、こっちも、これから病院に行かねーと・・・。」
「はぁ?! お前が病院?めずら・・・」
ブッ
相手がまだ話している途中にも関わらず、玄関の鍵が開けられる音に電話を東堂は切った。
ドアを開けると、すぐに出かけられる様に支度し終えた尊が立っていた。
「東堂、お待たせ・・・。って、電話よかったのか?」
「ああ、用件は済んだから。」
「そっか。」
「尊、今日この後・・・もうここには戻らないけど何か持っていく物とかあるか?」
「え・・・あ、うん。大丈夫。さっき、着替えてる時に見たけど・・・箱に入れたやつ運んでくれたんだね。」
部屋の鍵をかけながら、尊の手が止まる。
「・・・どうかした?」
「あ、いや・・・。鍵ってかけて良いのかな?って。」
「・・・。鍵は閉めて行こうか。業者がくる日は、立ち会う予定だから。」
「そっか! たまに、玄関の鍵って忘れちゃうんだよなぁ・・・。」
「!!!!!」
「・・・え、何・・・。ちょっと、東堂の顔怖いよ・・・?」
クリニックに着くまでの間、東堂は尊に懇々と防犯についての認識の甘さを注意し、最後には涙目に尊の事をさせてしまった。
それでも、尊も自分を心配していってくれている事と分かっているので、クリニックの駐車場で東堂からキスをされれば、すかりと上機嫌になっていた。
人の気配になんて気が付かないほど・・・
エレベーターを待っていると、東堂がポケットに入れていた携帯を忘れた事に気がついた。
「あ、尊悪い。先に、先生の所に行ってて。車の中に携帯忘れてきた。」
「え、オレも一緒に戻るけど・・・?」
そのタイミングで、エレベーターが開いた。
「ほら、先に行ってろって。 すぐ行くから。」
そう言って、東堂からまたキスをする。
「分かった・・・。早く、来いよ?」
顔を赤くしながら、エレベーターに乗り込む尊を見送って駐車場まで戻ると、シートに落ちてあった携帯が点滅していた。
・・・着信? 誰だ??
携帯を手にした瞬間、後ろから声をかけられる
振り向いた瞬間に、硬い何かで殴られる。
咄嗟に腕で庇ったが、その場で気を失ってしまう。
ポォン・・・
フロアについた尊は、チャイムを鳴らすが応答はなかった。
「・・・先生?」
ドアノブに手をかけると、ドアが簡単に開いた。
中に入ると、前に来た時と何も変わらなかったが、そこに先生の姿はなかった。
「先生? あれ・・・トイレとかかな?」
先生がいない事に不思議に思ったが、前も自分たちだけを残して先に先生がいなくなった事を思い出し、東堂が来るまでソファーで座って待つことにした。
しばらくすると、部屋のドアが開く音し、ソファーから立ち上がった尊に勢い良く何かが噴射された。
「えっ・・・・な・・に・・・」
ドッサッ
「はぁ・・・散々、鍵は閉めておけって言われてたのに。 ホント、君は不用心だよね・・・。」
倒れた尊を、抱きかかえるとベットに寝かせる。
尊の着ている服のボタンを一つずつ外していく。
今着ている服は、東堂が下着から全て用意した物だった。
「あの男が選んだものなんか君には似合わないんだよ・・・。」
少しずづ露になる尊の肌に、鬱血した痕や歯形を見つける。
その事に、感情が逆撫でされ、一気に用意していたナイフで下着ごと破かれる。
冷ややかな空気に身体が曝され、だんだんと尊の意識が戻ってくる。
「!!!!!」
ギシッツ!!
「ああ、目が覚めた? 全く、君も淫乱なΩに成り下がったんだね。」
「!!」
気を失っている尊の全裸の写真を見せられる。それも、自分でも見たことがない様な場所の写真まで・・・。 その時に、自分が全裸な事に気がつき、身をよじろうとするが手足が拘束されていた。それも、足はM字に固定されていた。
「ここも、随分と短期間で使い込んだみたいだね・・・。」
グリッ
「!!!!!!」
「ああ、ここが、いいのか? 」
グチュグチュ・・・
「!!!!」
潤滑剤で十分と潤わされているのか、自分の分泌したものなのか・・・
それとも・・・・
頭によぎった、最悪な事に体に力が入る。
それと同時に、自分の中を良い様に弄っている男の指を締め付ける事になる。
「せ・・・先輩・・・なんで・・・。」
「なんで? おかしな事を言うね。 僕たちは、付き合っていたじゃないか・・・」
「え・・・」
先輩のメガネに、怯えた顔の自分が映り込む。
この人は一体何を言っているんだ?
「それなのに、君はあんな不良と・・・。」
はぁ・・・
ため息と共に、指が増やされる。
「!!!!!」
「こんな事をされても、気持ちがいいんだ。はしたないなぁ・・・。ああでも、中の色は綺麗な桜色だったなぁ・・・」
東堂に愛される事に慣れた体は、こんな事でも一生懸命に快楽に変えようと反応しはじめていた。ただ、尊の気持ちは何一つ追いついていなかった。
これが、Ωの身体なのか?
触られれば、相手は誰でも良いの・・・???
嫌だ嫌だ・・・
ボロボロと涙が溢れ出てくる。
その涙を舐め取られ、嫌悪感から全身が毛羽立つ。
「ああ、君の涙・・・なんて、甘美な味なんだ・・・。」
目玉まで舐められ、恐怖で漏らしてしまう・・・が、何かが変。
「安心して全部、出していいよ。 ほら、ここに管が見えるだろ? 」
カテーテルから、繋がっているパックにどんどんと溜まっていくのが尊にも見えた。
グッと、下腹部を押されると自分の意思とは関係なく押し出されていく。
「!!!!!!!」
ガチガチと恐怖に震え、歯が鳴る・・・
「ああ、君の可愛らしい歯が欠けてしまうじゃないか・・・。」
口に、タオルを押し込まれる。
「!!!!!!」
「はぁ・・・、そんな顔しないでくれるかな? これでも、僕は君を傷つけたくなくてやってるんだよ?」
「!!!!」
唯一動かせる顔を思いっきり左右に振る。
「暴れんな!! って言ってんだよ!!!」
ザック!!!
勢いよく顔の横に、ナイフが刺さる。
その瞬間、ピリリと鋭い痛みが走る。
ツーっと、赤い雫がシーツに流れ落ちる
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