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第4章 10

「いいね」  夏野は少しだけ落ち着きを取り戻した様子で、満足げにそう言うと幸村の肩に足を載せた。 「あぁ、気持ちいい。久しぶりだな。……あれ、でも何で……俺は……俺はもう……」  困惑したような声が聞こえ、肩に載った足に力が込められていく。  DomとSubのPlayは「おすわり」というCommandから始まる。今の夏野は、幸村にそのCommandを下したことで僅かに欲求不満が解消され正気を取り戻し掛けており、Dom性を忌み嫌う気持ちが戻ってきてしまったようだった。  ――ダメだ。中途半端なままこのPlayをやめたら夏野はまた苦しんで暴れる……。それだけは何とか避けないと。  幸村は夏野を助けたい一心で口を開く。 「あの」 「……ん?」 「お願いします。もっと、俺に……Commandをください」  夏野はぽかんと口を開いて驚いたような表情を見せたが、すぐに楽しそうに笑い始めた。 「あはは。あんたも飢えてんの?なのにその顔……悔しそうなその顔、俺と同じだな。嫌いなんだろ?Playが……。何でだろ。すごいそそられる」  足を床に下ろして、ぐっと前のめりになると幸村の髪を掴んだ。 「いいよ。ほら……伏せ」  髪を掴んだまま、夏野は幸村の頭を床の方へと押し下げた。同じ人間同士なのに、命令を下す人間と服従する人間に別れるこのPlayは、Neutralの幸村にとっては耐え難い屈辱のはずだった。 「床に顎ついて俺の顔を見ろ。そう、いい子だ」  ――なのに、どうして俺は……。  踏みつけられるように足で頭を撫でられながら、幸村は自分の中に湧き上がる感情に戸惑いを感じ始めていた。夏野のCommandに従い、それを認められる度に、体の芯が疼いて熱くなるような不思議な気持ちになる。 「そのままでいろよ。……そのまま、これ舐めろ」  目の前に突きつけられたのは、夏野の足だった。想像することもなかったような行為に幸村は顔を歪めながらも、恐る恐る舌を伸ばす。  ――汚い。気持ち悪い。……でも、これで夏野を助けられるなら。 「くすぐったいな……。もっとちゃんとしゃぶれよ」  そう言われて、大きく口を開き親指に吸いついた。正しい足の舐め方なんて知らなかったが、少しでも早く満足してほしくて、ぎゅっと目を瞑って懸命に舌を動かす。 「うーん……めっちゃ歯当たるんだけど。ほんとに慣れてないんだな。あ、それとも……」 「んがっ……」  強い衝撃に頭がのけ反る。夏野が口の中を蹴り上げるように足を押し込んできたのだ。 「激しくされるのが好き?」

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