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第4章 12
ふっと顔が離れ、2人はほんの短い間だけ見つめ合った。荒々しく息をしながら紅潮した顔で自分を見上げる夏野の表情は恍惚としていて、幸村は思わずその名前を呼ぼうとして口を開きかける。
「な――」
「……なによ、その顔。誘ってんの?」
夏野はその言葉を遮り、幸村を跳ねのけると後ろ手にパイプベッドを掴んで膝立ちになる。スウェットの上からでもその股間が硬く勃ち上がっているのがわかった。
「SubならもっとSubらしい誘い方があんだろ」
――本当に、初めから、俺がSubならよかったのに。
「言ってみろ。何が欲しい?」
――俺がSubなら、俺たちはもっと早くこうして結ばれたはずなのに。
「言え」
幸村は一度四つん這いになってから体と頭を沈め、土下座のような姿勢を取ると俯いたまま口を開いた。
「……フェラさせてください」
不思議と、そう言うことに嫌な気持ちはなかった。
「できるじゃん。いいよ」
顔の前に差し出された屹立に舌を伸ばす。夏野のそれを見るのも、触れるのもこの時が初めてだった。今までどれだけそうしたいと願っても叶わなかったことが、Subとしてなら簡単に実現してしまう。夏野が憎むDynamicsを自分が求めていたことに気が付き、幸村は静かに涙を流す。
泣いているのに気が付かれないよう、視線を落としたまま懸命に口を動かす。今まで夏野にされたことを思い出しながら、根元から先端まで丁寧に舐め上げる。
夏野はしばらく吐息も漏らさず黙っていたが、そっと幸村の頬に手を伸ばすと顔を上げさせた。
「なぁ、俺のこと焦らしてんの?Subなのに……何で……泣いてんの?」
驚いた顔でそう言われ、Subではないことに勘付かれてはいけないと焦った幸村は、大きく口を開いてその先端を咥え込んだ。しかし、前後に動こうとした途端、頭を押さえつけられてそれを止められる。
「待て。……いいよ、俺が教えてやる。俺の目を見ろ」
そっと見上げると、夏野は悲しそうな表情を浮かべていて、それからゆっくりと腰を動かし始めた。
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