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第5章 11
「立ち上がって壁に手をつけ」
萩原は何も言わずにCommandに従い、夏野に背を向けて立った。夏野は躊躇うこともせずに萩原のズボンと下着を膝まで下ろすと、露になった陰茎に手を伸ばす。Subの欲求を手っ取り早く満たすには性的な刺激を与えるのが一番いいと知っているからだ。
「大地、よく聞け。大地はSubだ。本当は誰かに支配されたいんだろ?自分1人でどうやってそれを満たす?支配者は誰だ?自分自身か?」
「……そうです……僕がっあっ……ンぐっ」
問いかけに答えようとした萩原に対して、夏野は手の中の陰茎を力強く握り締め、さらに口の中に指を2本押し込んで言葉を封じ込めた。
「黙れ。俺は聞けと言ったんだよ。Subの言葉に意味なんてない。今は俺が支配者だ」
逃げられない、抵抗できないと思わせることは、Playに慣れていないSubにとって必要なことだった。
「鏡を見ろ。これがDomとSubだ」
夏野はCommandと行動を使ってSubとしての本能を萩原に教え込もうとする。鏡に映るのは、大柄な自分が小さくてか弱い存在を手籠めにする様子。今まで求められてPlayすることしかなかった夏野はそんな自分の姿に胸騒ぎを感じたが、萩原のためだと思い耳を噛むようにしながら言葉を続ける。
「わかるか?もう一度言う。大地はSubだ。Domに……俺に支配されるべき存在なんだよ」
「ひゃん……んぅ……」
「喋ろうとしてんじゃねぇよ……。ほんとに何もわかってねぇな」
「……あ゛っ……」
萩原の口が動くことで歯が指に当たるのを感じ、夏野は舌を強く摘まむ。Subにも色々な性癖の者がいるが、大抵の場合、多少の痛みは快感となるはずだ。
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