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第5章 12

「自分がSubだって認めろ。言葉がなくてもできるはずだ」  言葉を使っていいのはCommandを下せるDomだけ。口達者で反抗的なことばかり言う萩原にとって、自由に話す権利を奪うのも効果的だろうと考えていた。その期待通り、萩原は観念した様子を見せ、項垂れながら自らの腰を夏野に擦り付けた。夏野はその首筋に唇を這わせ、ほんの少しだけ歯を当てる。 「いい子だ。大地。……大丈夫。俺がすぐに楽にしてやる」  Play中にSubを褒めることはRewardと呼ばれ、とても大切なことだった。SubはDomのCommandに従い、Rewardを受け取ることで満たされるからだ。これでようやく萩原を救えると思った夏野は、Playを終わらせるために手の中で大きくなったものをゆっくりと上下に扱き始める。 「いいか?大地、Subは――」  その時、突然鋭い痛みがつま先に走り、思わず屹立を強く握り締めてしまった。 「なぁっ……?!」 「あっあぁ……」  生温かい液体が溢れ出て、夏野の手のひらを汚す。ふと下を見ると萩原の踵が自分のつま先の上に乗っていた。萩原を完全に支配下に置いたと思い込んでいた夏野は動揺し、慌てて身を離してそばにあった手洗い場に手をつく。 「いってぇ……だ、大地……」  萩原の方を見ると挑発するような瞳が目に入り、わざと自分の足を踏んだのだと気が付く。その瞬間、彼を無理やり組み敷いてしまいたいような気が起こったが、夏野はサッと目を伏せて、気持ちを落ち着かせようと水道に手を伸ばす。 「ごめんな、大地。こうするしかなくて……」  Play中にここまで抵抗されたのは初めてで、夏野は困惑しながらも謝罪の言葉を口走っていた。萩原を支配することができなかった悔しさが心の中で渦巻いていたが、それよりも萩原の気持ちを誤解して襲ってしまったことへの申し訳なさを強く感じていた。

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