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第6章 1

 夏野と萩原は、週に3回ほどは顔を合わせて共同研究を進め、一緒に食事をとり、一人暮らしをする夏野の部屋でPlayをするようになった。  萩原は生意気で反抗的で、我慢強くて被虐が好きなSubだった。夏野はそんな萩原に流されることがないように、パートナーとなるための条件を設定した。Play中以外は対等な恋人として振る舞うこと、Play前には必ずSafe Wordの確認をすること、そして、2度と自傷行為を行わないこと。萩原は嫌そうな顔をしながらも、この数か月の間、きちんと言い付けを守っていた。  萩原がそれを守る代わりに、夏野は萩原の希望を最大限叶えるようなPlayを行っている。 「……大地、早くしなよ。いつまで時間かかってんの?」  ベッドに寝そべる夏野の視線の先では、椅子に座り、後ろ手に縛られた萩原が足だけを使ってスウェットパンツを脱ごうともがいていた。 「んっ、待って、あと少し……」  萩原はお仕置きされるのが何より好きだった。そのため、夏野は必ず失敗するようなCommandを下す。 「何よ、大地。俺に命令すんの?」  夏野は立ち上がると萩原を見つめながらゆっくりと歩き、机の上のペン立てからハサミを抜き取る。 「(こう)、だって、僕は……」 「いつも言ってるだろ。言い訳すんな。俺のCommandは何だった?」 「服を脱げって……」  ハサミと夏野を交互に見ながら、萩原は足の動きを止める。荒く息をする様子はこれから起こる行為にすっかり心を奪われているようだった。 「遅すぎるから忘れてんのかと思った。ほら、手伝ってやるよ」  夏野はそう言うと強引にスウェットパンツを引きずり下ろし、萩原の身に着けているボクサーパンツに容赦なくハサミを挿し入れた。体を傷付けないように気を付けながらも、その金属部分をわざと体に当てると、萩原は喘ぐような吐息を漏らす。 「あっ……晄、ごめんなさい」 「今さら遅ぇよ。お仕置きだな、大地」  ジャキンと音がして、薄い布で覆われていた下半身が露となる。2か所に切り込みを入れると、夏野はそれを強引に引き抜いた。閉じたハサミの側面で屹立をなぞりながら夏野が顔を上げると、欲望に滾った黒い瞳が目に入る。 「大地に待たされて腹減ったから、これ付けてコンビニで何か買って来い。俺の好きなもんくらいわかるよな?」  萩原の期待に応えるように、夏野は屹立の根本を縛るためのリングを取り付けた。さらに、ハサミを使ってTシャツを捲り上げ、小さく勃ち上がった2つの突起をクリップで挟む。 「ぁうっ……わ、わかりました」 「ただし店員にエロい顔見せんなよ。大地は俺のSubだからな」

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