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第8章 3
割れるような痛みだったはずの頭痛が少しずつ和らいでいく。そのことは幸村をさらなる恐怖へと陥れた。
「お前ほんと使えねぇクソSubだな」
自室の真ん中で、着ていた物を全て脱がされた幸村は必死に男の股間へ舌を伸ばしていた。そして、それに納得のいかない男に腹を蹴り付けられる。
「あぅっ……ご、ごめんなさい……」
痛みに声を上げながらも、縋りつくように男の陰茎を口に咥えた。舐めろという男の声が脳内に響き続け、勝手にそれを中断することができなかった。
――何で。何で俺はこんなことをしてるんだ。
「電車ん中でエロい視線送ってくるSubがいるから付いてきてみたら……ケツの穴は使えねぇわ、フェラは下手くそだわ、とんだクソSubだな。お前ずっと女に飼われてたのか?」
――何を言ってるのか全然わからない。クソSubって俺か?エロい視線?わからない。わからないけど、なぜかこの男に従ってると頭痛がマシになる……。何で。俺の体が、頭がおかしくなったのか?
「あー、クソ……お前見てるとイライラするわ。おら、もっとしっかり口開けろ」
男は幸村の頭を押さえつけると、硬く太いものを無理やり奥まで押し込んだ。込み上げる嫌な匂いと喉への圧迫感で、幸村は声にならない声を上げ涙を零す。
「俺を見ろ」
見上げた先には下品に笑う男の顔。
「怖いか?俺に犯されるのが。安心しろよ。すぐに全部俺好みに躾直してやるからな」
「……あ゛……が……」
そう言いながら男は幸村の股間を蹴った。押し潰された喉の奥から、恐怖に慄く悲鳴が形を成さずに漏れてくる。
「ここだ」
ガサガサとした硬い指が幸村の首に添えられる。
「俺にフェラするときはここ使え。いいな?抉じ開けててでもここを使え」
男は幸村の喉を撫で上げると、腰を浮かせて激しくピストンを始めた。
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