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第8章 5

「起きろ、クソSub」  頭を踏まれ、床にゴリゴリと押し付けられる痛みで目を覚ます。 「御主人様のお帰りだよ」  幸村は何も言わずに男の顔を見上げた。相変わらず体に怠さは残っていたが、それでも少しは楽になったような気がする。 「何だ、その目は。俺に逆らう気か?おもしれぇ。文句があんなら言ってみろ。言え」  言えというCommandに、幸村の口は勝手に動き出す。 「……いい加減にしろよ、この変態が」 「お?」 「誰がクソSubだ、このクソ変態が。お前頭イカれてんのか?俺はSubじゃねぇ。お前がやってんのはただの犯罪だ。絶対に警察に突き出してやる。俺はお前を――」  ニヤニヤとした顔で幸村の言葉を聞いていた男は、ついに腹を抱えて笑い出した。 「お前、笑かすんじゃねぇよ。言うにしてももっとマトモなこと言えよ。お前はどこからどう見てもSubだ。警察に突き出す?やれるもんならやってみろ、クソSub」  ゴトンと音がして、幸村の顔の目の前にスマホが落とされる。 「警察呼ぶか?その代わり、俺とのPlayは終わりだ。欲求不満で死にそうだったお前を助けてやった恩を忘れんなよ?」  男は戸棚からハサミを取って戻ってくると、幸村の手首と足首の拘束を切った。 「俺のCommandを無視できるならやってみろ、クソSub。おすわり」

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