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あたたかなひととき
ぴーぴぴろんお風呂が沸きました
保温運転を開始します。
女の無機質な音程の機械音が風呂の湯沸かし完了を告げる
「お湯沸いた!蓮先生行こう」
手を引っ張って幸は更科を立たせる
素直に更科は立ちあがり幸とともに浴場へと歩いていき、浴室の扉を開け中に入った
浴場の中は湯気が立ち込めあたたかい
「ああっておい、走ると危ない
中へ入った途端に幸は走り出し
「いっちばーん」
ザブンと音を立て幸は湯船に沈みぷくぷくと口まで浸かり更科を見つめあげ、顔をあげた
「ねっ蓮先生も入ろう」
「あ…ああ」
言われるまま更科は湯船に足をつけた
あたたかな湯は気持ちがいい
そのまま腰をおろし幸の正面に座るとほぅと息をついた
心が解れていくのを感じる
「あったかいなっ蓮先生!」
「うん…あったかい」
「蓮先生っハグ」
ぱちゃんと音を立て幸は更科の懐に飛び込んだ
「おっと!」
勢いが激しすぎて慌てて更科は幸を受け止めた「やっぱり風呂って気持ちいいよねっ」
幸はご機嫌だ。
そんな幸の腰元をぽんぽんと撫で
「ありがとな、幸」
「な…っ」
突然のお礼に戸惑う幸はくるっと体を回転させ、更科の股ぐらにおさまると更科にもたれた
あまりの照れくささに話題を変えようと思案するがいい内容が思いつかず、先程疑問に感じた言葉を口に出した
「そういえばエンバーミングって何?」
「あぁ、あれか。死体に防腐処理して特殊加工して生きているみたいにするやつのことだ」
「げっ…」
さぁっと血の気が引くのを幸は感じるが感情を抑え
「そ…そう。まさかオレにしようとか考えてる感じ?で、飾るの?」
「いや。よがり狂いそうになってた幸があまりに可愛くて出てきた言葉なだけで願望がある訳じゃない」
ぎゅっと更科は愛しそうに幸を抱きしめた
ガンガンに攻めて死にそうになるくらいまでよがらせはしたいが殺したい訳ではない
もちろん死んでしまったら…そうするだろうが今の今したいわけではなくついつい出てきた発想だ
「ふーん愛してくれてるってことでいい?蓮先生」
「そういうことだ」
ちゅっと幸の首筋に口を落とし吸い上げキスマークをつける
「…っっ」
反対側にも首を回し同じように赤くしていく
「…んんっ」
口を離すと更科はやや抱きしめる手に力を込め明日の予定を幸へ伝えた
「明日は1日診療になった」
「へ?」
「それで思わずかっとして当たり散らしたが仕事だから仕方ない。中休みには一度帰るがいい子にな」
さらりと当たり散らしたとかいう更科に驚くのと突然の宣告に戸惑う幸だったが静かに頷き了承した
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