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翠
翌朝、と言っても11時近くに目覚めるとすでに室内のどこにも更科の姿は無く、拘束部屋の拘束道具も片付けられていた。
(縛るのやめてくれたんだ…)
幸はダイニングテーブルの置き手紙とプリントに目を落とした
〝おはよう、幸。
気持ち良さそうに寝ていたから起こさずに行く。どうか留守中いい子で…
土曜日に会えるのを楽しみにしてる。
今夜、電話する〝
どうやら寝ている間に出かけたらしい。
昨夜は寝ていても犯してきたのに…と突っ込みをいれたくなる
(何するかな…)
特にすることもないがダイニングテーブルに宿題と筆記具が置いてあると言うことはこれをやれと言う意味らしい
気乗りしないが宿題を進めた。1時間もしてから軽く昼を済ませてくつろいでいると何やら人の気配…警戒していると指宿が現れた
(だ…誰?)
「やぁ、コウくん」
「なんだ、指宿先生。びっくりした」
「ごめんね。驚かせて…ところで、宿題?」
テーブルのプリントに指宿は目を向け、一通り目を通すと頷き
「正解。全部合ってるよ」
「あ、ありがとう。えーと、なんで?」
「頼まれたからね、夜勤前だけど顔を見に来たんだ。仕事中でも電話は繋がるから何かあったら遠慮なくね?」
「ん〜大丈夫。ガキじゃないし」
「なんなら明日明けたら来るけど?」
「いいって。明けとかいうのなら寝なきゃ」
「じゃあ土曜日の昼過ぎに一度来よう」
ひらひらと手を振り指宿は帰った。
ほどなくしてソファでくつろいでいると再び物音、、
(忘れ物?)
「指宿先生〜何か忘れ物?」
ひょこっと部屋の隅から顔をのぞかせる少年のようないでたちの青年は見たことが無い人
体が固まる
「誰!?」
「え〜?こっちの台詞かも。君は誰?なんでここにいるの?」
笑っているが目が笑っていない
怖い…
「あいつのとこにいるってことはあいつのもの?」
「ものって!」
言い方ってものがあると思う
「ん〜あいつのものはボクのものってことだから。お名前教えて?」
「や…やだ」
恐怖に身がすくんでいると、ずかずかと中に入りソファの横に座られると反射的に体を横ずらしし少しでも距離をとろうとする
「え〜?なんかあんまり躾がなってない感じ?これだからあいつって甘いんだよね」
「な…何言って」
「いいよ。ボクから名乗るね。ボクは更科翠だよ」
(すい?それより更科ってことは蓮先生の血縁?)
「で、お名前は?」
「幸…」
「よくできました〜」
わしゃわしゃと翠に頭を撫でられ、顔が引きつる
なんだろ…すっごく嫌だ
「で、幸はあいつのなに?ボクは一応双子のお兄ちゃんだよ」
「え?」
知らなかった。
というか、蓮先生の双子なら36、7のはずなのに若すぎないか?
疑問が浮かぶ
「あれ?知らなかった感じ?あいつとは長いの?」
「夏休み初日から」
「え〜新婚ほやほやな感じ?」
「違っ」
「あれ?じゃあ、おもちゃなんだ?」
とんでもない言葉に言い返すことができない
「へ〜ぇ。あいつにおもちゃか。なんかおもしろくない。君さ、ボクのになりなよ?」
ニヤリと翠は笑みを浮かべる
こいつ…狂ってる。
「ボク、可愛がるよ?たくさん甘やかしてとろけさして…で、めちゃくちゃに壊れるまで愛してあげる」
クスクスと翠は笑う
幸は女郎蜘蛛に狙われる獲物のように身動きがとれずにいた
今までの地獄は地獄じゃなかったと思うほどに、地獄の2泊が始まった…
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