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第26話※
坂の下から手を繋がれ自宅まで上っていく。電車の中では二人で身体を寄せ合いヒソヒソと、笑い合いながら話をしていたが、自宅近くの駅に到着し、坂の下に来てからは終始無言となった。
坂の途中にある木の蕾が、また更に大きく膨らんでいるようだ。二人無言で歩きながらも、木を見上げては顔を見合わせて笑った。
だけど、お互い微笑むだけでやはり無言で歩き進める。千輝は、坂の途中で後ろを振り返り、海を眺める余裕もない。
家が近づいてくる。
やっと二人で家に帰って来れたと思う気持ちと、とうとう二人で家に着いてしまったという気持ちが半々だった。
昨日までひとりでいるのを寂しいと感じ、十和田の帰りを待ち遠しく思っていたのに。
今は恥ずかしくて、どんな顔をしていいかわからなくなる。
家に入っても手を繋がれたまま、キッチンに行き冷蔵庫からペットボトルを掴み、そのままベッドルームまで流れるように十和田に連れて行かれた。
もうわかっている。この後のことが。
ベッドに押し倒されてやっと、二人抱き合うことが出来た。おでこをつけ合い、クスクスと自然に笑い合うことが出来た。
「会いたかった…千輝」
「僕…も…」
千輝が言い終わる前にキスをされた。アパートで夜寝る前にしていたキスより遥かに長く、深いキスをされる。
「あの時の続きをしてもいいか?」
そう言って笑う十和田を千輝は下から眺めていた。
「ちょっと待ってて…」
「え?千輝、どこ行くの?」
「お風呂…準備があるから…」
「じゃあ、俺も行く」
「ダメ、待ってて。ここに居て」
そうだろうなと思ってたけど、やっぱり十和田はよくわかっていない。男の身体を抱いたことはないようだ。
千輝はこの日のために、ローションをベッドルームに置いておいた。机の引き出しから、ローションを取り出しそのままバスルームへ向かった。
久しぶりだった。
以前は自分でローションやジェルを使い、後ろに指を入れてひとりで遊んでいた。
それこそ、あのバイブを使い遊ぶこともあった。
だけど、好きな人とこうなるために、ローションを使うのは初めてだ。玩具ではなく、十和田のものを千輝の後ろに入れることになる。入るのだろか。不安と期待で手が震えた。手早く準備が出来ないのがもどかしい。
「千輝?」
十和田の声がバスルームのドア前から聞こえる。心配で来てしまったのだろう。もうちょっと待っててくれればよかったのにと、千輝は少しため息をついた。
「今、いきます」
準備もそこそこに出ると、バスタオルを手に心配そうにしている十和田に包まれた。
抱きかかえられベッドルームへと戻る。
もう逃げないでくれと、十和田の全身から声が聞こえてきそうだった。
「遅くなってごめんね…」
抱きしめている十和田の首筋に、スリッと頬を擦り寄せて千輝が小さな声で呟く。十和田の横顔を見ると、少し苦笑いしているようだった。
バスタオルで包まれたままベッドに横になる。Tシャツも下着も全て脱ぎ捨てた十和田が上から覆いかぶさってきた。
二人共、裸で抱き合う。肌が擦れて気持ちがいい。十和田の身体は大きくて逞しい。
キスが深くなり、千輝の首筋にまた熱い痛みが走る。首筋から胸にかけて十和田が大切そうにキスを繰り返している。
「んんっ…やぁっ…ああ、」
胸の尖りを十和田が口に含み、ジュっと強く吸い上げたから、千輝の声が高く出てしまう。何度も繰り返されるので、声を堪えるのが出来なくなる。こんなことをされるのは初めてだ。
「千輝、声出していいぞ…俺しか聞いてないから、千輝の声を聞かせてくれ」
「やっ…ダメ…んん、」
十和田が千輝の足の間に割って身体を押し入れてくる。強く腰を押し付けられ、二人のペニスが重なった。二人分の先走りの量は多い。水音が部屋に響く。
「やあぁぁっ、んんっ」
ゴリっとした十和田のペニスに強く反応してしまう。声を上げたと同時に千輝のペニスからは先走りがタラタラと流れ出ている。十和田のペニスが熱く感じる。
「千輝…ひどくしたくない…教えてくれ、どこがいい?触っていいか?」
「うん…」
十和田が千輝の後ろを指で探っている。指がゆっくり千輝の中に入ってきている。
さっき簡単に準備をしただけだが、千輝の中は濡れている。十和田もやっと気づいただろう。それでも何も言わず、するりと指を中に入れてきた。自分以外の人の指を受け入れるのは初めてだ。
何となくコツを掴んだ十和田が、指を増やしていく。3本目もゆっくり深く奥まで入れてきた。
「た、大誠さん…それ使って欲しい」
千輝は、お風呂で使っていたローションを指差した。継ぎ足して欲しいとお願いをした。
とろりと溢れるようにローションを手に取り、十和田は丁寧に千輝の後ろに塗り込むと同時に十和田自身のペニスにもトロトロと溢していた。これから、あれが中に入るのかと千輝はジッと見入ってしまう。十和田のペニスは大きく立ち上がり、天を向き反り返っている。
「こわい?不安か?」
気遣うように十和田が千輝に聞いてくるが、硬く勃起しているのでかなり辛いだろう。男だからわかることだ。
「もう…大丈夫だと思う」
セックスをするのは初めてだから、大丈夫だかどうか本当はわからない。
十和田は千輝の両足を大きく開き、深く腰を進めてきた。大きく勃起しているペニスの先端が、後ろの入り口にめり込んで入ってくる。ローションで濡らしているから、くちゅくちゅとした音と一緒に入り口を抜き差しされる。
いつも玩具で後ろの入り口で遊んでいた感覚より強烈だった。熱く硬いもので貫かれるのは初めてだけど、とても気持ちがいい。
「大丈夫か?痛くない?このまま奥に入れてもいいか?」
心配して色々と確認してくる十和田の声があまりよく聞こえない。
「気持ちいい」と声に出して言った途端、十和田の動きが一瞬止まり、その後は躊躇せず奥までゆっくり入れてきたのを覚えている。
「ああっ…やぁぁ、んん、気持ち…いい」
「このまま動くぞ?」
十和田がゆっくりと腰を動かすと、千輝の奥にあるしこりが擦られる。十和田のペニスの先端で前後に擦られて、千輝は射精してしまいそうになった。
「た、大誠さん、出ちゃう…そこ、されると出ちゃう…んん」
十和田が千輝の腰を掴み直し、更に奥深くまで貫かれる感じになる。指では届かない奥を突かれると気持ちがいいことがわかった。
少しずつ十和田の腰の動きが速くなってきた。大きな動きに加え、お互いの肌が当たる音が聞こえる。
「千輝…気持ちいい?教えてくれよ」
耳にキスをしながら聞かれる。十和田の声も掠れていた。
「奥が…気持ちいい。大誠さん、もっと奥まできて…」
乳首をキュッと十和田に摘まれ、指の届かない奥にゴリゴリと十和田はペニスを入れてきた。
今まで入れたことがない大きさだが、硬い十和田のペニスで前後に揺さぶられた途端、千輝は射精してしまった。突然だった。
「やっああぁぁ…はぁぁっっ」
「…ヤバイ。千輝、ごめんな」
射精した千輝を見た十和田が強く腰を振り付けてくる。大きなベッドから振り落とされそうな勢いである。ぐちゃぐちゃという音も激しさを増している。上から叩きつけられるように強く深く奥まで抜き差しされる。千輝のペニスは、また勃起してきた。
「このまま出してもいい?」
激しくて返事をすることが出来ないが、何とか頷くことが出来た。
奥に熱いものをかけられたのを感じる。
十和田が千輝の中に撒き散らしている。
上からボトボトと十和田の汗が千輝の身体に落ちてきていた。
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