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08※【END】

 一番ケ瀬に冷たい目で見下された瞬間、全身が冷水ぶっかけられたように冷たくなっていく。 「……っ、ぃ、一番ケ瀬……待ってくれ、俺は、お前が嫌いなわけじゃない」 「嫌いなわけじゃねえけど、浮気はするのか」 「っ、そ、れは……ッ」 「……なあ十鳥、これ以上俺を失望させんなよ」  あ、と思った。分かっていたはずだ、一番ケ瀬を裏切ってるということは。それでも止められなかったのは俺自身だ。 「ご、めん、悪かった……」 「……」 「一番ケ瀬、ごめん」  言い訳をすることすら一番ケ瀬を傷付けるというなら、ひたすら謝罪することしかできない。けれどそれすらも許せないというのなら、俺はもう他に差し出すものはなにもない。 「ごめ――」 「……なにがごめんだ?」 「っ、え……」 「なあ十鳥、おかしいよな。……俺のなにが不満だったんだ? 気持ちよくなかった? あの野郎のがよかった? ……なあ、これってそういうことだよな」  胸ぐらを掴まれ、そのまま馬乗りになってくる一番ケ瀬に全身が熱くなる。一番ケ瀬が怒ってるのが肌で伝わってきて怖かった。  それと同時に、感じたことのない熱が込み上げまで来るのだ。 「待ってくれ、一番ケ瀬……っちが、おれ、……っう゛……ッ!」  そのまま後頭部を掴まれ、髪を引っ張られるように上半身を起こされる。瞬間、眼前に突き付けられるそれに息を飲んだ。陰影がくっきりするほど血管の筋を浮かべたその性器は、今までに見たことないほど反り返っていた。滲んだカウパーが亀頭を濡らし、夕陽でより一層グロテスクな見た目になっている。 「……しゃぶれよ、十鳥」 「あ、ぁ……ッ、い、ちばんがせ」 「俺のこと好きだって言うなら、できるだろ」 「二通のは喜んでしゃぶってたもんなぁ?」と笑う一番ケ瀬に目の前がぐにゃりと歪む。悲しかった。それ以上に痛いほど張り詰めた自分の股間が惨めで、自分で自分がわからなくなる。  後頭部を押さえつけられるがまま俺は一番ケ瀬の性器に唇を這わせる。そのまま亀頭で唇をこじ開けられ、喉の奥まで滑り込んでくる性器に思わず噎せそうになったが、一番ケ瀬は構わず喉の奥までみっちりと俺の性器をねじ込むのだ。 「ん゛ッ、ふ、……ッ! ぅ゛……ッ!」 「十鳥、なあ、お前がそんなにどうしようもねえやつとは思わなかったよ。……ああ、ずっと、全部演技で、本当は苦しいのを我慢して俺のために頑張ってくれてたって思ってた」 「む゛、ぐ……ッ」 「――けど、全部嘘だったんだな」  ごりゅ、と喉ちんこを掠め、更に奥まで入ってくる一番ケ瀬の性器に胃液がこみ上げてくる。けれど、吐きたいのに喉のそれが邪魔で思うように吐けず、変なところに入る吐瀉物に噎せ返りそうになった。  一番ケ瀬は俺の前髪をかきあげ、そのまま喉の奥を突き上げるのだ。 「ぉ゛、ぶ……ッ!!」 「裏切り者、……っ、浮気野郎、本当はずっと他の男に犯されてる間も喜んでたんだろ、お前……ッ!」  違う、そう言いたいのに声を上げることすらもできない。カウパーと滲む唾液、吐瀉物でぐちゃぐちゃになった口の中、抑えきれずに唇の端から溢れる体液を拭うこともできなかった。  感情任せに顎がぶっ壊れそうなくらい性器を突き立てられ、文字通り喉を犯される。そして何往復もし、喉の粘膜を犯し尽くしたその性器は喉の奥へと直接精液をぶちまけるのだ。 「ぉ゛ッ、ごぼ……ッ!!」  堪らず一番ケ瀬の性器を吐き出そうとするができなかった。噎せた拍子に鼻に入った精液が絡みつき、吹き出す。  顔面精液で汚す俺を見て、一番ケ瀬は笑った。 「っ、は、……おい、なんて顔してんだよ十鳥、俺の精子、いつもはあんなに美味そうに飲んでたくせにな……っ!」  ずる、と引き抜かれる性器。こびりついた精液を吐き出そうと何度も咽る俺に一番ケ瀬は声を上げて笑った。 「い、ちばんが、へ、ごべ、も゛……ゆるじ……ッ」 「ああ? 聞こえねえよ」 「っ、ん゛む゛……ッ!」 「お掃除フェラ、頼むわ。……お前得意だったろ。毎回つまんなさそうな顔して綺麗にしてくれてたもんな」 「っ、ぅ、……ふ……ッ」  違う、違うんだ。そんなつもりはなかった。  そんな風に思わせてたなんて思ってなかった。  唇にキスするみたいに押し付けられる亀頭を咥え、尿道口に残った精液を飲み込む。その間ぼろぼろと涙が止まらなかった。  一番ケ瀬をここまで怒らせてしまった自分に対する後悔だ。そうじゃないんだ、という言葉の代わりに必死に一番ケ瀬の性器を綺麗にし、愛撫する。射精したばかりにも関わらず、一番ケ瀬のものはずっと勃起しっぱなしだった。 「は、なんだ……媚び売るときは必死なんだな」 「っ、ち、が……うぶッ」 「うるせえな、黙ってしゃぶれよ」 「……っ、ふ……ッ、ぅ゛……」  悲しいはずなのに、喉を突き上げられる度にその息苦しさのあまりに下半身がより一層熱くなる。  こんな状況で興奮している自分に寒気がして、何よりも恐ろしくなった。 「……っ、ぅ゛、ぐ……ッ」  唾液を絡めた舌先で必死に一番ケ瀬の性器に絡みつく精液を舐めとっていく。独特の匂いが鼻孔に広がり、頭がくらくらするようだった。 「っ、し、た……きれいに……っ」  そう性器に手を添えたまま亀頭から唇を外せば、こちらを見下ろしていた一番ケ瀬の目がそのまま俺の下半身に向けられる。そして。 「つーかなんでお前、勃起してるんだ?」  そう伸びてきた一番ケ瀬の靴先に下半身を押し上げられ、全身が凍りつく。 「っ、こ、れは……っ」 「これは、なんだよ。……まさか、こんな状況で興奮してるなんて言わねえよな」 「……ッ、」  耳を軽く引っ張られ、腰が震えた。見下ろしてくる一番ケ瀬の目に心の奥まで見透かされてしまいそうで恐ろしかった。  これ以上嘘を重ねるよりも、いっそのこと全て吐き出した方がいいのではないか。そうぐるぐると回る頭の中、言葉に詰まっていた俺の下半身を踏みつける一番ケ瀬に背筋がぴんと震えた。一本の太い槍で脳天まで串刺しにされたみたいな痛みに堪らず俺は一番ケ瀬の足にしがみつく。 「っ、ぅ、い、ちばんがせ……っ、ゆ、るしてくれ……っ、ぉ、おねがい……っ、ごめ゛、おれが、わるかった……ッ」 「ああ? ……今更なに言ってんだよ。許してくれってなんだ? 認めるってことか、全部」 「ぉ、お前を不快にさせたなら、謝る、だから……っ」  これ以上はやめてくれ。  破裂しそうなほど膨らんだ性器を柔らかく踏みつけられれば汗が吹き出し、恐怖のあまり涙が止まらなかった。それなのに、睾丸の中はマグマのように煮えたぎっていた。  喉が渇いていき、視界が揺れる。一番ケ瀬の冷たい視線がひたすら怖くて、気持ちよくて、熱くて、どうにかなりそうだった。 「謝るだけか? 演技が得意な十鳥のことだもんな、簡単だろそれくらい」 「ぉ、おれ」 「全裸になれよ」 「え」 「いますぐ、ここで」 「できるよなぁ、それくらい。ずっとやらされてきたもんな、全校生徒の前でさ」そうからりと笑う一番ケ瀬はそのまま凍りつく俺を見る。 「脱げよ、十鳥」 「わ、かった……脱ぐ、脱ぐから……頼むから、そんな言い方しないでくれ」 「なんでだ? 事実だろ?」 「……っ、……」  お前にだけは言われたくなかった、笑われたくなかった。あのときのことを。  踏みにじられる。それなのに先走りが止まらない。体と心が噛み合わない。  それがただ恐ろしくて、俺は一番ケ瀬の言うことを聞かざる得なかった。  シャツを脱ぎ、身につけていた下着も脱いでいく。下着の上からでもくっきりと形が分かるほど浮かび上がり、染みをつくっていた性器は締め付けるものがなくなったと同時にぶるりと頭を出した。それを見て、一番ケ瀬は「お前、なに興奮してんだよ」と笑うのだ。 「ぬ、ぬいだ……これでいいか?」 「ああ、そうだな。じゃあ次はそこのテーブルの上に乗れよ」  一番ケ瀬が指差したのは、普段一番ケ瀬が使っているあの会長机だ。  ――俺が何度も生徒会のやつらに犯されたあの場所に、再びこの惨めな姿で乗れというのだ。 「やる気がねえなら別にいいぞ。帰れよ」 「……っ、ま、待ってくれ……っ、一番ケ瀬……乗る、乗るから」  もたもたと机の上に腰をかけ、「これでいいのか」と尋ねれば「ああ」と一番ケ瀬は笑った。「そのまま股を開け」とも続ける。 「っ、ま、待て……そんなこと、したら……っ」 「俺の言うことはやっぱ聞けねえってか」 「……っ、する、から……待ってくれ」  あまりの恥ずかしさと惨めさに心臓が痛かった。机の前に立つ一番ケ瀬に見せつけるように大きく股を開く。自分がどれほどみっともないことをしてるなんて客観視すらもしたくない。  何度も死にたくなるような恥ずかしい目には合わされてきたはずなのに、ここまで踏みにじられたのは初めてだった。それも、相手が唯一俺の救いだった一番ケ瀬が相手だからだろう。  俺の下半身の前、一番ケ瀬はそのまま俺の睾丸を掴み、そのまま奥の肛門を撫でる。そのまま中に入ってくる指に硬直した。  掻き出したとはいえ、つい先程まで二通に犯されていたそこを指で確かめられるだけで冷や汗が止まらなかった。 「っ、ぅ……ッ! ぁ、い、ちばんがせ……ッ」 「ぐずぐずだな。……たくさん中出ししてもらえたか?」 「っ、言わないで、くれ……っ」 「事実だろ? 俺が仕事してる間散々犯して貰ってたそうだもんな、なあ?」 「っ、ひ、ぅ゛……ッ!」  膨らんだ前立腺を刺激された瞬間、机の上で大きく腰が震えた。そんな俺を見て笑った一番ケ瀬は更に指を追加し、更に責め立てるように前立腺を指で刺激するのだ。 「っ、ぅ゛、や゛……ッ、まっ、まって、一番ケ瀬……ッ!」 「……っ、待たねえよ、寧ろ物足りねえくらいだろ?」 「ち、が……っ、ぁ゛ッ、あ゛ッ!」  待ってくれ、とその先を声にすることはできなかった。ガクガクと痙攣する下半身、天井に向かって勃起していたそこから迸る精液はそのまま宙を舞い、俺の上に降り注ぐのだ。  そんな俺を見て「セルフぶっかけだな」と品のない言葉を口にした一番ケ瀬は更に前立腺を刺激した。 「っ、ま、ま゛でっ、たのむ、たのむからっ! い、出る、また……ッ!」 「いいじゃねえか、出せよ。今まで気持ちよくなかった分たくさん出せよ、マゾ野郎」 「っ、ひ、ぎ……――ッ!」  腫れ上がったしこりを指で絶え間なく刺激され続け、あっけなく二度目の絶頂を迎える。けれど先程のように精液が出ることはなかった。ぴんと丸まった爪先、机の上で股を開いたまま動けなくなる俺を見て、小刻みに痙攣する下半身から指を引き抜いた一番ケ瀬はそのまま指を俺の口にねじ込む。 「自分で綺麗にしろ」  俺にはもうなにも言い返す気力もなかった。ねじ込まれる指に舌を這わせ、言われるがまま唾液を絡めて吸い上げる。  涙も枯れ、涙の跡がひりついて痛かった。 「い、ちばんがせ……きらいに、ならないでくれ……ぉ、俺は……おまえのことが、お前しか……」 「……」 「一番ケ瀬……っ、ん、む……ッ」  瞬間、影が重なる。唇を押し付けるようなキスから、舌を伸ばした一番ケ瀬に唇を舐められ、俺は条件反射で口を開いた。そして一番ケ瀬の舌を招き入れた。長い間キスしていたと思う。薄皮も皮膚も邪魔なほど、じれったくてもどかしい。一ミリもこいつに俺の気持ちが届かないことがなによりも歯がゆくて、悲しくて。 「泣けばいいと思ってんだもんなあ、お前」 「い、ちばんがせ」 「……本当、ずりいよな」  抱き締められた腕の中、背中を撫でられ、とくんと胸の奥が熱くなる。ようやく許してくれたのだろうか。そう思わず一番ケ瀬の胸にしがみつこうとしたときだった。剥き出しになっていた肛門に押し当てられる性器に、息を飲んだ。  散々二通に嬲られた直後、めくれ上がったそこに付き立てられる肉色のそれに視界が赤く染まる。 「っ、ま、って、一番ケ瀬、まってぐ……ッ! ひ……ッ!!」  止める暇もなかった。ずぶりと埋め込まれる亀頭にそのまま一気に奥まで穿かれ、瞼の奥が焼けるようだった。喉奥から溢れる悲鳴を止めることもできなかった。 「っ、い、ちばんがせっ、まって、いま、だめだ、今はッ」 「ビッチに今もクソもねえだろうが、なに言ってんだよ……っ、なあ!」 「っ、ひ、い゛……ッ!!」  焼けるほど熱くなる腹の中。腫れ上がった亀頭で前立腺を乱暴に引っかかれた瞬間、押しつぶされた膀胱から溜まっていた尿意がせり上がってくる。待ってくれ、と声をあげるが出てこなかった。代わりに、ぱっくりと口を開いた尿道口からチョロ、と黄色い液体が吹き出した。 「っ、い、う゛……ッ!」 「は、またお漏らしかよ十鳥……ッ! お前の尿道はゆるゆるだな、……っ、人の机ションベンぶっかけやがって、どうすんだよ臭くなったら」 「ご、め゛んなさ……ッ! ぁ゛ッ!」 「本当、どうしようもねえな……っ、漏らし癖つけてんじゃねえよ」 「ぁ゛、が……ッ! は、ぁ゛……ッ!!」  手綱のように腕を掴まれ、激しく腰を打ち付けられる度にチョロチョロと吹き出る尿は途切れ、そして俺の下半身を汚すのだ。拭うこともできないまま、更にごりごりと膀胱ごと押しつぶされる度に尿道口から断続的に尿は吹き出し、垂れる。辺りに充満するアンモニア臭に早く生徒会室を綺麗にしなければ、と思うのに、一番ケ瀬はそれを許さない。それどころか先程よりも興奮したように俺の下半身をガッチリと捕まえ、腰を打ち付けるのだ。その激しさに耐えきれず、会長机の上でのたうち回ることしかできない。 「っ、――~~ッ、ぃ゛、あ゛ッ、も、ぉ゛……ッ! ゆ、ゆる、して……っ!」 「許さねえって言ってんだろ、いい加減学習しろよ……っ! 許してもらいたきゃ黙ってろ、なんのためにここまで便器してきたんだよ、マゾ野郎が……ッ」 「っ、い゛、ひ……ッ!!」  乱暴にケツを叩かれ、その痛みは睾丸まで響く。無数の針に刺されたみたいに痛くて熱いのに、あの一番ケ瀬に怒りをぶつけられてることに胸が熱くなって、酷く下半身が熱くなった。  骨と骨がぶつかるような衝撃の度に頭が真っ白になり、何も考えられなくなる。あの日、久しぶりにに一番ケ瀬に抱かれたときとは比べ物にならないほどの熱量に呑まれ、俺は何も考えることができなかった。 「なあ十鳥、俺はお前といるだけで満足だった。……けど、お前はそうじゃなかったんだな……っ、」 「っ、ふ、ぅ゛……ッ! ひ、い、ちばんがせ……ッご、めんなさ、ぁ゛……ッ!」 「とんでもねえよな、お前……っ、は、なあ楽しかったか? 俺とあの野郎との二股は……ッ! それとも、お前のことだ。他の男にも手を出してんじゃねえだろうな」 「ち、が……っ、だしてな……ッ!」 「どうだかな、こんなゆるゆるのケツで何言われたって説得力ねえんだもん。……なに泣いてんだよ」 「っ、ふ、ぅ゛……ッ、」 「……泣けば済むと思ってんのか?」  苛ついたように舌打ちした一番ケ瀬に腿を掴まれ、そのまま更に腰を叩きつけられる。突き上げられる拍子に結腸の入口を破られ、そのまま奥にぐぽ、と押し付けられる亀頭に脳の奥で無数の火花が散る。大きく仰け反った胸元、顔を寄せた一番ケ瀬に胸を噛まれた。  痛みも感じない。あるのは溢れ出んばかりの感情と、熱だけだ。 「は、ぁ゛ひ……っ!」 「……っ、十鳥……」 「ぁ゛、あ゛……ッ、ぐ、ひ……ッ」  呑まれて、呑まれて、隠し持っていた最後の理性の一欠片。  それは一番ケ瀬の手によって粉々に砕かれた。 「会長、十鳥先輩、お疲れ様です」 「ああ、お疲れ。また明日」 「……っ、……お、つかれ」  生徒会活動の時間も終わり、他の役員たちがいなくなった生徒会室の中。  ぱたんと閉じた扉を一瞥した一番ケ瀬はそのまま笑みを消し、俺を見た。そして、俺の腰を撫でるのだ。 「っ、ぁ……ッ?!」 「駄目だろ、十鳥。……あんなあからさまな態度じゃバレるぞ」 「い、一番ケ瀬……っ」  制服の上から臀部を握られ、食い込む指に堪らず呼吸が乱れる。一番ケ瀬を見上げれば、やつはいつもと変わらない快活な笑顔を浮かべるのだ。 「いい加減慣れたらどうだ。……去年まではここにずっとプラグやバイブ仕込んでただろ」  そう、電動バイブで塞がれた肛門を撫でた一番ケ瀬はそのまま“前”に指を這わせるのだ。 「ただ数が増えたくらい、寧ろお前みたいなマゾ野郎には丁度いいんじゃないか?」  根本と睾丸を締め付けるような形の電動バイブ付きのコックリングは、俺が勃起すればするほど余計締め上げ、より鮮明に刺激が伝わってくるような仕組みのものになっていた。  射精したくてもできない。下着の中で限界値までパンパンになった性器を一番ケ瀬に撫でられ、ぞわりと全身の毛がよだつ。 「っ、い、一番ケ瀬……っ」 「なに逃げてんだ? ……お前、俺の言う事なら何でも聞くって言ってたよな」 「っそれは、」 「じゃあ逃げるなよ、口答えもするな」 「……っ、は……い……」  そのまま制服の上からぎゅっと股間を握り締められ、汗が吹き出た。凍りつくような恐怖の中、恐る恐る頷けば、ようやく一番ケ瀬はいつもと変わらない笑顔に戻るのだ。  そして俺にキスしてくれる。 「……好きだ、十鳥。もう二度と俺を裏切るなよ」  罪悪感の種は増えていき、次第にそれは根を大きく伸ばしては俺から意思を奪っていく。  ……いや、最初からそんなもの無かったのかもしれない。  這わされる舌に自ら舌を絡めながら、俺は今日も生徒会長補佐として――一番ケ瀬の恋人としてこの生徒会長室で過ごしていく。  そこに自由も意思もなにもない。与えられるものを受け入れる。一番ケ瀬専用の奴隷としてすべてを受け止めることがただ唯一俺ができること――許されたことだから。 「――ああ、一番ケ瀬」  だったら俺はそれを全うするだけだ。 【カースト最下位落ちの男】END 「会長様と会長補佐の十鳥先輩、今日もべったべただったよな」 「確かに。元々十鳥先輩って四軍だったんだろ? それを会長様が恋人を助けるために生徒会長になって、おまけに生徒会役員入りさせたんだってよ」 「うわ、ソレってすげー純愛じゃん」 「だよな。そんな相手に出会えるとか羨ましいよな」 「けど、たまに十鳥先輩変な顔するよな。一番ケ瀬会長のこと怖がってるってか……」 「十鳥先輩は真面目だから人前でベタベタされんのやなんだろ、怖がってるわけねーじゃん」 「……ああ、なんだそうだよな。だよな、そんなわけないか」

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