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第2話

「喉仏あったぞ?スーツも着てたし僕っても言ってた」 「何言ってんの?」 「男だって、碧さん」 「はあ?……名前だって女の子の名前」 「俺とお前も女の子の名前だ!」 そういや、そうか……えっ?でも? 「あんな可愛い男いるの?」 「いるだろ?現に?」 俺はよーく碧さんを思い出してみる。 ショートの髪に大きな瞳に色白。まつ毛長い……唇がプルプル……うへへ。 あ、違う……服装。 昨日も今日もボーイッシュ……いや、今日はスーツだった。 パンツスーツ?あれ?女の子ってネクタイするっけ? 上着のボタンが俺の着ているブレザーと同じ側にあった。 女の子は逆だもんね。 ええ? 俺は芽衣を見つめる。 「はい!終了!」 芽衣は残念だったな的な顔で俺を見る。 ええ?嘘……マジで?マジで男の子?あんなに可愛いのに? ショック過ぎる。 俺の中で芽生えていた恋心は一瞬にして散った。 「帰る」 俺はフラリと歩き出す。 「ちょ、待てよ!元気出せって……うーん、仕方ないからハンバーガー奢っちゃる」 芽衣に肩を掴まれた。 こんな時に……なんて、と思ったのに腹の虫が鳴ったのでハンバーガー屋。 そこで、芽衣にセットを奢って貰った。 失恋しているのにお腹って空くんだな。 食べながら考える。 凄く可愛いって思ったんだ。笑った顔とか、さっきも俺に笑顔見せてくれてさ……。 五月君って名前呼んでくれてさ、友達になってくれるって。 優しいよな。 うん、そうだよな。友達でいいかな?折角、知り合って、自己紹介までして、友達になってください!ってお願いしたのは俺。 勝手に恋して男と分かったら、はい、終了的なのは失礼だ。 よし!友達で行こう。 俺はハンバーガーをガツガツと食べた。 割り切ると元気が出てきて自分でも単純だと思う。 「芽衣……ありがとう」 お礼を言うと「止めろ!お前が素直になると台風がきそうやけん」なんて、皮肉言われた。 持つべきものは幼馴染。 芽衣にはいつも、こうやって助けられてきた。 ありがたい存在。 ◆◆◆◆ 「お前、諦めたんじゃないのかよ?」 また、俺は碧さんを待っている。 芽衣も付いてきた。 「友達になってください!って言ったし」 「あっそ!」 そんな会話をしていると、碧さんが。 でも、今日は長身でイケメンな男性と一緒だった。 芸能人並にイケメン。 しかも、碧さんと親しげだ。 同じ会社の人?碧さんより、年上っぽいから先輩かな? 碧さんを見ていると、俺に気付いて手を振ってくれた。 めっちゃ可愛い笑顔で。 「五月君と芽衣君」 名前を呼んでくれた。 「ちわっす!」 芽衣は碧さんに頭を下げる。俺も慌てて下げる。 「今、帰りなの?」 「はい」 碧さんは積極的に話し掛けてくれて、嬉しい。 「部活楽しい?」 「はい!」 「ふふ、元気だね」 碧さんは俺を見て、可愛い笑顔を見せてくれた。 女の子より可愛い……本当にどうして、これで男の子なのだろう? ああ、どうしよう、胸のドキドキが止まらない。 連絡先とか聞いていいかな? 悩んでいると「碧、時間ないぞ?」と一緒に居る男性が言うものだから、「あ、そうだった!またね」なんて、手を振って碧さんは俺らの前から遠ざかる。 ああ!残念……こらから、2人でどこに行くのかな?ご飯食べにとか? 碧さんとご飯……羨ましい。 「五月!」 背中をバシッと叩かれ、我に返る。 「ほら、帰るぞ」 芽衣は俺を促す。 「芽衣……俺」 「なに?」 「やっぱ、碧さん……いいと思う」 「は?」 俺の言葉に芽衣は目を大きく見開く。 「諦めない」 「えっ?碧さん男だぞ?」 「それでもいい!」 「マジで?お前ってホモ?」 ホモ……芽衣からそんな言葉が。 俺はどうなんだろ?同性でも、胸はときめいた。

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