3 / 7
第3話
「俺……ホモかも」
「は?」
芽衣は眉間にシワ寄せている。きっと、呆れてるんだ。
でも、いいんだ……人生って1度きりじゃん?
「俺、碧さんが好き」
「マジで……?」
「芽衣、気持ち悪いなら友達辞めても良かぞ?俺は愛に生きる男になる」
拳を握り、愛を宣言。
「博多の中心で碧さんに愛ば叫ぶ」
「いや、ここ、南区だから」
冷静な芽衣の突っ込み。ちくしょう!
「と、とにかく、俺は愛に生きるとぞ!そして、碧さんと付き合いたいと」
「勝手にしろよ」
芽衣はやっぱり呆れてる。まあ、仕方ないよね。男を好きになるんだもん。
幼馴染辞められても仕方ないよな。
男の友情より、愛だ!最後に必ず愛は勝つんだから。
◆◆◆◆
「……で、何で芽衣、またおるん?」
「何が?」
部活も終わって駅に居る俺の横に芽衣が居る。
「呆れたっちゃなかと?」
「なんで?」
「俺、ホモで良かけんって言うたから」
「別に……そいくらいじゃ引かんし」
「は?マジで?」
「何年幼馴染しとるって思っとっとや?」
芽衣は本当に良か男や。こんな俺でも幼馴染って思ってくれる。
「えへへ、ありがとう」
嬉しい。
「五月君と芽衣君」
碧さん!
俺達を見つけ手を振ってくれる。
今日も可愛かなあ。
「お前、ニヤニヤし過ぎ、気持ち悪かぞ」
芽衣の言葉でキリッとした顔に戻す。
「本当、仲良しなんだね、いつも一緒」
俺と芽衣を交互に見る碧さん。
「あれ?肩に動物の毛付いてますよ?」
芽衣が碧さんの肩を指さす。
「えっ?あ、本当だ……猫飼ってて」
「猫飼ってるんですか?お、俺も猫好きなんです!」
碧さんの情報をまたゲット!
「えっ?本当?猫可愛いよね」
嬉しそうに笑う顔はまるで花が開いたみたいだった。こんなに可愛く笑う人、初めて会った。
「碧」
またあの男性の声。
「ちひろさん」
いつも一緒に居るイケメン。今度は近くに来た。
げっ、近くに来ると背高いやん……それにカッコイイというより綺麗?ジャニーズか俳優にいそう。
「この前話した高校生の男の子達」
そんな紹介をする碧さん。えっ?俺の話とかしてくれたの?マジで?ばり嬉しい!
「大根のせいで痴漢に間違えられた子?」
「はい」
「災難だったね」
優しく笑うイケメン。イケメンはズルいと思う。笑うとイケメン度が上がるから。
「いえ……あの、背高いっすね?何かしてたんですか?スポーツ」
「えっ?特には……あ、でもバスケやってた」
「そうなんですか?俺らもバスケ部で」
「そっか、レギュラー?」
「はい、一応」
「へえ、頑張って」
またまたニコッと笑うイケメン。
「あ、スーパーに寄らないと!」
碧さんが思い出したように言葉にし、会話終了。
2人一緒に行ってしまった。……ってオイ!イケメンとしか話してないよ。
「お前……頑張るんじゃなかったのかよ?イケメンとしか会話してなくない?」
ズバリそうです。会話終了。
「でも情報ゲットできた!猫飼ってる」
「はいはい良かったな。俺のお陰やない?」
「あ、確かに」
肩についた毛に気付かなければ得られなかった情報。
「今日は俺がハンバーガー奢っちゃるけん」
「は?マジで?」
「うん、俺がホモでも引かなかったお礼も兼ねて」
ってなわけでハンバーガー屋へ。
「なんかさ、もっと仲良くなれんかな?」
もっとこう、親密になりたい俺。
「連絡先聞くとか言ってなかったかお前?」
「そ、そうけど……会話が精一杯」
「遊びに誘うとか色々あるやん?俺らとタメやったらゲーセンとか映画とか誘えるけど社会人やもんな……ゲーセン行くとかな?」
芽衣の言葉に確かに!と思った。タメだったら色々誘える。
「夕方とかリーマンがクレーンゲームやってない?」
「そりゃオタクやろ?必死に萌フィギュア取りよる」
碧さん……ぬいぐるみとか似合いそう。
猫のぬいぐるみとか……あっ!
「芽衣ゲーセン行こ?」
「は?今から?」
俺は無理矢理、芽衣を引っ張りゲーセンに行く事にした。
ともだちにシェアしよう!