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第5話
「五月君」
次の日、俺を見つけて極上の笑顔で側まで来てくれた。
「これ、あげる」
碧さんが俺に手渡したもの。
「ニャンコ先生」
のマスコット。
「五月君も好きって言ってたし、昨日のお礼……もう持ってたらごめんね」
まさか本当は1個も持ってないとは言えない俺。
「持ってないっす」
「良かった」
嬉しそうに笑う……眩しいッス碧さん。
「昨日、あの後、ちひろさんとゲーセンに行ったんだ、そしたら見つけて」
ゲーセン行ったんだ碧さん……くそう!一緒に行きたかった。
「僕もお揃いで」
「えっ?」
碧さんは全く同じのを見せる。嘘だろ?お揃いとか。17年生きてきた中で1番嬉しいかも。
「それと芽衣君も」
碧さんは俺の横に当然のごとく居る芽衣にも渡す。
「お友達記念」
ニコッと微笑む碧さん……ああ、鼻血出そう。
「ありがとうございます」
芽衣もペコリと頭を下げた。いいのに芽衣にまで……折角のお揃いが。
「碧」
くっ!イケメン登場。本当、この人いい所で現れるよなあ。
イケメンと挨拶して、あっという間に碧さんは拐われて行った。いや、拐われてないけどさ。まるで騎士のようにあの人現れるから。
いいなあ、いつも一緒に居て。
「良かったなお揃いで」
ニヤニヤする芽衣。
「お前もな」
「いや、クレーンゲームやった人は全員持ってる」
「うるさい!」
でも、いいんだ。碧さんがわざわざ取ってくれたんだもん!
「またLINE聞けなかったなお前」
「う、うるさい!」
そうだ、聞けなかった。
でも、明日があるもん!
なんて言いながら……1週間過ぎてしまった。
花火大会のポスターを見ながら芽衣と碧さんを待ち伏せ。
待ち伏せだよな。約束してないし。
「日曜だね花火大会」
真後ろから碧さんの声。
俺と芽衣は振り返る。
「2人も行くんでしょ?向こうで会えたらいいね」
「はい!」
なんと!碧さんの方からそんな事。
「浴衣着るんですか?」
芽衣、グッジョブ!浴衣姿見たい。
「うん、着るよ」
やったあ!見れる。
「きっと似合いますね」
「えっ?」
芽衣の言葉に顔を赤らめる碧さん。なんて可愛いんだよ。
「あ、マスコットつけてますよ」
芽衣は部活用の鞄を見せる。
「俺もつけてます!」
負けじと俺もアピール。
「僕もつけてる」
碧さんは背負っているリュックを見せる。
ああ、本当にお揃いなんだなあ。嬉しい。
芽衣も付けてるけどさ。
「あ、もう行かなきゃ……花火大会楽しみだね」
碧さんは遠くから来るイケメンを見つけて俺達に手を振って去って行った。
「なあ、……花火大会行くよな?」
「行くだろ?浴衣で鼻の下伸ばしやがって考えている事分かるけんな?」
「そんな顔しとった?」
「しとった、エロじじいみたいな顔やった」
くそう!
でも、芽衣のお陰で浴衣情報が。
◆◆◆
そして、日曜日。花火大会の会場に居る俺と芽衣。
ざわつく会場内……すげえ、福岡の人口全部来てないか?
それくらいに凄い人だ。これじゃあ碧さん見つけるのは困難だ。
「なあ、これじゃあ碧さんと会うの無理じゃね?」
俺の心を代弁するように芽衣が言う。
「あ、愛の力で捜し出す」
「頑張れ」
芽衣は冷めた視線で俺を見る。
◆◆◆
結構捜してみたけど、未だに碧さんは見つからない。LINE聞いておけば良かった。
「なあ、かき氷食べん?」
芽衣はかき氷の店を指さす。
歩き回って喉乾いたしっ、とかき氷屋に並ぶ。
浴衣を着た背の高い男性が頼んだ後に俺らの番が来て2人分頼んでいると「この子達の分も払うよ」と真横から声がした。
へっ?と横を見ると、碧さんといつも一緒にいるイケメン兄さんだった。
「あれ?」
芽衣も気付き会釈する。
イケメン兄さんはお金を渡してて「ありがとうございます。五月、お礼」と芽衣につつかれて奢ってもらっていると気付く。
「ありがとうございます」
俺も頭を下げる。
「いいよ、ぬいぐるみのお礼」
ニコッと微笑む兄さんは本当にイケメン。しかも自然に奢ってくれた。
「碧さんも一緒ですよね?」
芽衣が気が利く質問をする。
「いるよ」
指さす方向に碧さん。
しかも、浴衣ああ!
ふああ!可愛い似合う!
水色の浴衣が碧さんに凄く似合っている。
かき氷を貰い、碧さんの側に。
「あれ?」
俺達を見て驚いて、その後直ぐに笑顔になった。
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