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第6話

「会えたね、どこに居るのかな?って思ってた」 笑顔で言われて、俺もです!なんて叫びそうになったが芽衣に叱られそうなので止めた。 イケメン兄さんにかき氷貰う碧さんは嬉しそうで……しかも、かき氷が似合う。あ、りんご飴も似合う!絶対に可愛い。 俺らはちゃっかりと碧さん達の後ろを歩く。 だって、一緒に花火見たいし。 「なあ、あの2人浴衣色違いじゃね?」 芽衣がおかしな事を言い出す。そもそも浴衣って似た感じじゃんか。 「帯も柄が同じの色違いで」 「そうか?浴衣って皆同じだろ?」 俺はニヤニヤしながら碧さんの後ろ姿を見ている。 本当に可愛い。イケメン兄さんが背が高いからはたから見たらカップルに見えるんだけどさ……俺が隣に行きたいよ。 腰細そうだな。 「お前、気持ち悪い」 ニヤニヤしているのが芽衣にバレたのでシャキっとした顔に戻す。 このまま花火を一緒に見たい……なんて、俺の願い虚しく悲劇が起る。 見失ってしまったのだ。 前を歩いていたはずなのに更に人が増えたせいで見失った。 花火が上がる時間だからかな?一気に増えた。 「なあ、人混み出ねえ?喉乾いたし」 芽衣の一言でその場から離れた。 「公園の真裏に自販機あったよな?」 会場で買っても良かったが、人が多いのと、若干高い設定なのが辛い。だって高校生だもん! ってなわけで花火が上がる会場と真逆の方へ歩く。 会場から離れたせいか人がまばらだ。 あと少しで自販機に着く。っていう時にヒューと音がしてドーンと大きな音が響く。 周りが朱色に染まった。 1発目が上がったのだ。 俺達が居る場所からも結構見れた。 数発上がるのを見て、自販機へ向かおと花火から視線を外した時に少し離れた茂みに人が居た。 花火を見上げているようで、多分、この位置から見えると知っているようだった。 次の花火が上がった時に茂みに居た人の顔が見えて、それは碧さんだった。 やった!愛の力!とはじゃいた瞬間。俺はその場で固まった。 空に綺麗な花が咲く中、イケメン兄さんが碧さんにチュッとキスをしたのだ。 それは凄く綺麗な光景だっけれど、俺には残酷な光景だった。

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