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治療部

「……っ」カチャ カチャ?なんの音…って、あれ? 「なんだよ…っこれ」 カチャカチャと手足を動かし自分を繋げている手枷足枷をとろうとするがびくともしない 体に反動をつけて寝かせられているベッドから降りようとするもそれもうまくいかない。 「あいつらなにしてくれてんだよっ」 「あの…あまり暴れない方がいいかも」 「あ?」 突然横から話しかけられてびっくりして声の方を見ると手枷のみをつけられたふわふわ髪の可愛らしい少年が見えた オレより2つ3つ若い? 「すーぐ、やつら来るぜ?で、お仕置きされるから」 反対側にも誰かいる。こっちは気の強そうな短髪のオレと同じ歳くらいのやつ 同じく手枷でベッドにくくられている 「お前ら誰?」 「葵って言います」 「藤」 「本名?」 「「まさか」」 こいつらも花なのか? いろいろ聞きたいが頭がまわらない 「ね、君の名はなんてつけられたの?」 「え?なんだっけ…ツバキ?てか、なんでお前ら手だけなんだよ。オレ足までやられてんの」 「俺らも最初はそうだったよ」 「食いこむと痛いからあんまり動かない方がいいと思う」 「とにかくツバキさ、あんまり大きな音だすな。助手がくりゃいいけど医者がくるとやばいぜ?」 藤はニヤニヤと笑いながらツバキを見つめる そんな顔にイラっとしたツバキはガチャガチャと大きな音を立て破壊を試みる スタスタ… 速い足音が近づいてくる。どうやら管理側にバレてしまったらしい でも、気にしない…とりあえず右手さえなんとか壊せればあとはどうとでもなる 「あ……ぁ。ツバキ」 「知ーらね」 葵と藤はツバキの行動に目を背ける これからおこることを予測して葵は震え、藤は握り拳を作って唇を噛む 「ツバキ…」 やってきてしまった 医者だ。助手も引きつれている 終わったな、ツバキ 「葵くん、藤くん教えてあげなったのかな?」 「薄情っすよね。一応仲間なんだからアドバイスしてやりゃあいいものを」 「「したよ」」 そんなやりとりに気づきオレは一度手を止める さっきのあいつだ。 オレに注射しやがった仁科とかいうやつ 「どうします?」 「心電図モニターつけよっか」 「了解」 手際よく助手は赤や緑のコードが繋がったシールをツバキに貼り付けていく その光景を見て葵はわなわなと震え泣きだす 「あ…仁科先生。葵、パニック起こすかも」 「そ?三河先生呼んでおいて」 「了解」 助手はポケットからスマホを取り出し電話をはじめた 「藤くんは…担当医呼ぶ?」 「ご遠慮」 無愛想に藤は答える 「さて…ツバキ。これから何がおこると思う?」 「さあ?最低なことなのは確かじゃない?」 「ご明察」 仁科は手を伸ばしツバキの陰茎にそっと手を触れ、上下に扱きついで陰嚢部へも刺激をくわえられ心臓音が早まるのを感じる モニターからもピッピと音がし、ツバキの心音が響く 暖かな手に心地よさを感じるツバキは戸惑う 「…っん」 「感度は良好だな」 「先生。器具、持ってきました」 「ありがとう」 乗せられたトレーには電動マッサージ機 仁科は電動マッサージ機を手に取るとカチリと電源を入れ、ツバキの陰茎へと押し当てる 「助手さんさ、記録いい?平常時心音66からの刺激はじめ80。射精直前から射精時と後ね。後で薬使うからそん時もよろしく」 「了解。で、やっぱり葵がおかしくて過呼吸状態なんすけど」 「ペーパーバック試してみて。じきに三河先生くるし」 葵には目をくれず仁科は電マをツバキの股間へと押し当てる 「…っぁ…や」 「嫌?刺激が弱いか?」 仁科は手元を操作して電マを強めた 「んんっ…違っ、なんでこんなっ」 「いずれ出荷するためさ」 「出荷って…」 「君らは花だから。いずれ買い手がつく」 「買い…手?」 なんだろうか?多額の借金を残して交通事故で両親が死に、葬儀中に突然ここに連れさられて情報が多すぎて頭が整理できない 「君らはいま種の状態。これから土に植えて綺麗に咲きはじめたら売られていくんだよ」 「なっ!意味が分からないっそんなんやだし」 「じゃ、肉として出ていくしかないな」 「は?」 「臓器売買だよ。違法だけど」 頭が真っ白だ。 呆然としているともう1人の医者が室内へとやってきた 「すみませんっ葵は?」 息を切らしながら葵に近づき助手から紙袋を受け取るとベッド脇に座り 「そ。上手だ…吸って吐いて」 「落ち着きそう?彼」 「大丈夫と思います。モニターに反応しちゃったんすかね?」 「だと思うよ。フラッシュバックだろうな」 三河は葵の背を撫で落ち着かせようとしている 「バカだな。お前がお薬嫌いなのは分かったからもうしないって言ってあっただろう」 「そりゃ…あんな目にあえばそんなんにもなると思う」 黙っていた藤はぶっきらぼうに答えると、葵とツバキそれぞれを見 「葵〜、お前の番じゃないよ?今日はツバキ」 紙袋の端から葵は藤を見、ついでツバキと仁科に視線を送り 「やめたげてよ…ぼく、聞きたくない」 「賛成」 こんなになるまで反応する葵とそれに同調する藤を見てツバキは震えが止まらなかった (何がおこるの?)

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