8 / 76
尾張と藤
助手に呼ばれ尾張は治療部へと急いだ
新しく入った〝花〝が媚薬実験したとかで、メンタルケアが必要かもとのこと
息を切らし室内に入る
「藤、待ったか?」
「別に呼んでないし」
想像とは違い、かなり不貞腐れた?というよりやる気なさそうな表情の藤がいた。
「つれないね藤」
わしゃわしゃと藤の頭を尾張は撫でる
「…わ。やめろよ。髪くちゃる」
「素直に甘えれば〜?」
ムスっとし藤は尾張から視線を外す
「じゃあ、今日の分始めよう。さくっと始めてさくっと終わる。それで行こう」
「あ〜はいはい」
尾張は藤の手枷を外す。
藤は手首を擦りしかめつらで尾張を睨む
「藤、痛むか?」
「まあね。これ、はやく24時間なしになんない?」
「ならない。なしにしたいなら育成に戻るこった」
「考えとく」
突然、尾張は藤を優しくぎゅっと抱き締めた
「わ…っ。な、何!?」
「いや…たまにはこういう甘々なのもいいだろう」
よしよしと藤の腰元を尾張は撫でる
「や…やめっくすぐったいって」
尾張は藤を引き離し、口元に口を寄せる
「向こうでもキスしてたししてやる」
「え?別にいいっ」
有無を言わさず口付けた。
「ん……んぁ」
噛めばひどい折檻が待ち受けるとこれまでに教えておいたおかげで藤は嫌がってはいるが素直に受け入れている
かなりぶっきらぼうなタイプな子だが、キスは好きなようでキスした途端に体の力が抜けてきた。
なかなか、玩具が入らず苦戦したこともあるがその時もキスで成功した。
あの時はかなり興奮したものだ。
「ふ…ぁ」
唇の隙間から甘い声が漏れる
たまらなくくる声だ
立場上最後までできないのが残念だが、やれるとこまではめいっぱい可愛がってやろう
藤の口内を蹂躙し口を離すと、あちらでは葵にアナニーをさせるかどうかといったところだった
「優しい雰囲気出しておきながら意外に鬼畜だよな、三河」
「た…たしかに」
あっちが担当でなくて良かったかもしれんと藤は感じた。
あちらに意識を向けると会話が聞こえてきた。
「ね、菊…どこ?育成に行けるようになったとは思えないんだけど、、」
たしかにここ数日見ないかもしれない。
「あ〜あの子か。ツバキが来る少し前に間引かれたよ」
「「えっ!?」」
葵と声がハモった。
あまりのことにそれ以上言葉が出ない
体が震える
その様子を見た尾張はスマホで助手を呼び出す。
「菊が間引かれた…」
出荷されんのも嫌だけど、臓器になって売られるとかありえなさすぎる
まず間引くとかいう発想がやばい。
マジに俺らって花扱いなんだ…
想像してたら吐き気を催した。
(ヤバイ…)
顔が真っ青になり血の気が引いていくのを感じた
「尾張せんせ…い。俺ヤバイ」
「どうした?真っ青だぞ」
「気持ち悪い」
尾張は藤の背中をさすり落ち着かせようと試みる
「大丈夫だ」
「無理…」
「吐くか?」
尾張はちょうど到着した助手から洗面器のような小さな器を受け取り藤の顔元に添え
「口、指入れるぞ」
尾張は藤の口内に指を入れ藤を無理矢理吐かせていった
「う…ゔうぇ…っッ」
吐き出せたものを助手に処理を頼み、自身の手を拭いた
藤の背を撫で落ち着くのを待つ。
まだ青い顔をしているが先ほどよりはいくぶんマシだ。
助手は処理の後、再度の嘔吐に備えベッドに防水シートを貼っていった。
「しばらく大丈夫だったがやはり無理だったか、悪いな…楓(カエデ)」
「先生、名前で呼ばんでください。もう俺、ただの助手なんで」
「ついな。でも、本名もそれだしいいだろ?」
「ん〜複雑っすね」
ははっという笑い声が聞こえるが藤はふーふーと息を荒げていてそれどころでなくどうでも良かった
「右向きで固定でいいっす?」
「正解」
暴れることなく藤は固定されていく。
早く諦めればいいのに出荷されんのも案外悪くないよと楓は思った
いまじゃ懐かしいあの頃の記憶が蘇る
ともだちにシェアしよう!