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楓
一方その頃、真ん中のベッドではツバキがうつらうつらと船をこいでいた。
先ほど聞こえた間引くの言葉には驚いたが、強制的にたかめられた体は重く、眠たさを感じる
もう寝かかるという時になって葵の嬌声、藤のえづく声が聞こえびっくりして目を覚ました。
「!?」
射精した感じはないがイっている?な様子の葵はひどくなやましい見た目でなかなかに刺激的な感じ。対して後ろでは吐いてる?
なんで?
しかも、その後にカエデ?カエデって楓だよな?植物じゃん
話の内容から察するに〝花〝?
間引かれるか出荷されるかしかないと思っていたのに意味が分からない…
「助手さん、藤で忙しいだろうけど葵のお世話頼むね。固定は右手だけでいいよ」
いいな。左手も自由か…
オレ、そこまでいけるかな?
三河は助手に葵の世話を頼み消えた。
葵は助手により綺麗にタオルで拭われていった。絶頂後の疲労からか葵はスヤスヤ寝ている。
そんな葵の右手を助手が固定した。
後ろの藤はどうしたんだろう?
「あ…あの、助手さん?藤って」
「吐いちゃっただけだから心配しなくていい」
後ろ側にいる医者、尾張から返事が聞こえた
「助手さん藤はとりあえず落ち着いたようだから様子観察頼むな。なんかあったら電話を」
「分かりました。了解」
尾張も助手に後を頼み消えた
助手は藤の様子を一通り観察するとオレのそばにきて、引っ張り出してきた椅子に座った
「大丈夫?」
「あ…はい。藤は?尾張…先生は心配しなくていいって言ってたけど」
「大丈夫大丈夫。あいつストレス耐性無いからすぐ吐くんだよ。で、ここにいるわけ。しばらく無かったんだけど…葵も過呼吸起こしやすいし、弱いな、あいつら」
「その…楓って?」
「………」
しばらくの無言。やっぱり話題にするべきじゃないんだろうか?
でも、気になる
「ごめん。でも…〝花〝だったって解釈であってる?」
「…合ってる」
「じゃあここにいたんだ」
「いや」
「え?」
てっきりここの経験者かと思って声がうわずった
「ほとんどのやつは育成来た時点で諦めんの。でも稀に受容できなくて暴れまくったり、メンタルやられてどうにもなんなくて…てのが、ここ来るらしい」
「そうなんだ。育成って?あのヤリ部屋?」
「ヤリ!?すごいこと言うな」
「間違いではないと思う」
ヤルためだけの部屋って感じだったじゃん
あそこでの生活ってどうなんだろう?
「ん〜ここよりはマシだよな」
「ふーん…」
「早く戻れよ?じゃないとまたお尻ぺんぺんするかも」
「う…言い方」
ツバキは苦虫を噛み潰したように眉を寄せる
「俺、ツバキの担当らしいから。たぶんまたすることになると思う」
「なっ!助手ってそんなことまですんの?」
「いや、ほとんどは雑用。けど、治療に参加することもある」
「どうやってなったんだよ?」
「教えてやる」
楓は蘇ってきた記憶をツバキに語った
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