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のばら6

「ぐ…ふっ」 仁科はのばらのパンチに声をあげた。 止めない助手に疑問がわき怒りを覚えたが、あたりの光景に状況をなんとなく理解した。 花が急変した?たしかつゆだったか? 「えーと…かなりやばい状況だった?」 助手は頷くだけ頷いて後は無視してあたりに散乱したものをひとつずつ片付けていく 「助手さん〜?君、態度よくないなぁ。何故のばらくんは野放しに?」 「はあっ?あんたが捕まらないから悪いんだろっ。職務違反なのは分かってる!」 振り返り助手は切れぎみに話す 「のばらがいなかったら俺もあんたも上に殺されてたぜ?心室細動だとよ」 「なっ」 だとしたら一刻を争う状況だったはずだ。 しかしそこに何故野放しののばらが出てくる? たしか、返品された子だったはず… 何かいざこざか? 「助手さん、つゆくんの蘇生はもちろん君がやったんだよね?」 「ばーか。ただの助手風情が数回の講習受けただけでやれるわけないじゃん」 「と、すると…まさか!のばらくんが蘇生を!?」 「だとしたら?お前酒、臭いから嫌いっ」 突然のばらが喋りだし、バンっと手を突き出しのばらは仁科を突き飛ばした。反動によろける仁科 尻餅をついたところで三河と尾張が出勤してきた 「おはよ。今朝方電話すごかったけど、何かあったのかな?」 三河はヘラっとしている 「朝の電話は勘弁。仁科…応援いるほどだったのか?」 その間にのばらはすっと立ちあがり尾張に殴り掛ろうとするが尾張の手のひらで受け止められ阻止された 「おっと…なんで外されてんだ?」 「い…いやすまない。俺にも何がなんだか…」 「あの先生…」 事の次第を助手は話す 「なるほど。それはのばらお手柄かも」 パチパチと三河は手を鳴らす 「悪かったな…のばら。俺らも対応できず。お前のおかげでみんな助かった。ところで、仁科…酒、まだ抜けないのか?」 「すまない」 「助手さん、のばらそのまま手枷しなくていいからって日勤に引き継いで上がって?」 「はい」 「で、ちょっと医局にいいか?三河も」 ・ ・ 「親父の話だと酒断ちしたって聞いたけど?」 「いや…まだだ。正確にはしているだ」 「アルコール依存?」 「そうだ。スミレが精神病院で引き抜いてきて雇われたと聞いているが仕事中は困るぞ」 スミレが出てきて驚く三河は尋ねる 「なんでスミレさん?」 「病んでるから…あの人。定期的にやばい時があって数週入院したり…っての年1パターンなんだが去年仁科を見つけたらしい」 話を聞いていくと仁科の背景が三河にも見えてきた。 仁科は外科医をしていた。執刀でミスがあり患者が死にショックでアルコールに溺れ、アルコール依存がばれ入院に至った。 そこでスミレが仁科を見つけ、上層部に伝えたらしい。 「尾張先生、治療部…カメラあったよね?見れない?」 「見れる」 尾張は三河の提案でカメラを逆再生し、事の顛末を見た 音は撮っていないから無音だが様子がよくわかった 「手際…いいな」 仁科がつぶやく 「元看護師だからなのばら」 「だったら別に俺を引き抜いてこなくても、彼を解放してここで雇えば…」 「できたら苦労しない。とにかく親父はあいつを花として売る気だ。本人は前の主人が忘れられなくてしぶっているが…」 「もったいないよねぇ、のばら。いい手足になるよ?」 「それは分かっている…」 「彼をここに雇ってやってくれ」 仁科は尾張に頭を下げる 「親父次第だ。聞いてはみる」 ・ ・ のばらの処遇が決まり、尾張は医局へ急いだ 「のばら、医局へ入局させられるかもしれん。ただし腎臓の提供が条件だそうだ。どうするかはのばら次第だが…」 「よくやった猛っ」 三河が尾張の肩を叩く 「腎臓…か。だとするとある程度回復はするだろうがしばらく夜勤は厳しいかもしれないな。それは免除されるのか?」 仁科はつぶやく 「大丈夫だ。とにかくのばらに話してくるよ」 尾張はのばらの元へと足早に向かった

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