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のばら入局

「え?……」 尾張から聞いた話にのばらは固まる。 健康には自信があるが腎臓がひとつなくなる…腎臓は再生しないからどうなるか分からない うまく快方するのか? でもうまく行くのなら、賭けたい 「どうする?」 「なる。腎臓は…怖いけど、また売られること考えたら…ここで働きたい。先生たちの手足になるよ、ボク」 感極まりのばらは泣く 「分かった。待ってる…のばら」 のばらはそのまま臓器提供のために搬送された。 ・ ・ 2ヶ月が経ち、のばらは花屋へと戻ってきた。久しぶりの白衣に袖を通した瞬間なんだか泣けてきたが気を奮い立たせ、出勤した はじめて入る医局に足が止まる 「はよーざまーす」 気の抜けた返事をしながら助手、楓が入室していく。しかも、あくびをしながら! ありえないっ 「何あれ…いつもやる気ないじゃん」 「あ〜彼ね、9年くらいいるけどああいう子だから」 「尾張先生っ」 「元気だったか?」 「はい?おかげさまで」 「入りな…みんな待ってる」 尾張はのばらの肩を押し、入室を促した 尾張はこっそりと耳打ちをする 〝本名がいいか?〝〝いいえ〝とのばら 「ん。今日から入局ののばら。看護師さんなんだけどまずは主に助手業務。慣れてきたら医師補助メインにつかせるからみんなそのつもりで」 尾張はのばらを紹介した。 「おかえり…」 ボソっと仁科が声をかける。まだ酒臭いが今日は控えめだ。 「ただいま」 一通りの挨拶が終わるとスミレがすいっと横から出てきた 「じゃあ行きましょう?」 「はいっ、先輩」 「え〜なんか照れますね、それ」 スミレはパソコンの前に案内した。 「これが私たち助手用のパソコンです。このページを開くと…」 「ま、待って」 のばらはポケットからメモとボールペンを出し、メモした。 「熱心で感心です。治療部には持ち込みはやめてください。万が一があるといけないので」 「はい」 「で、このページ…花の情報が入っています。いま治療部にいる子は菊くんに葵くん、藤くんです」 「つゆは?」 「のばらが消えてすぐに育成に行きました。まだいますよ。ちなみに他の子もです」 ほっとのばらは胸を撫でおろした。 「菊くんは…ちょっと手こずってまして、仁科先生の子です。葵くんは泣き虫な子で三河先生が担当ですが過呼吸もちなのでご注意を。最後、藤くんはちょっと無愛想な子なんですが尾張先生の子です」 「ぅわっ。藤、可哀想…。尾張先生に泣かされてない?」 「見れば分かります。で、こちらに」 スミレの後をのばらはついて回る 「病院時代思い出すなああいうの。先輩に必死にくっつく新人。じゃあ俺は育成部行くから、三河先生おつかれ」 夜勤を終えた三河は帰り、仁科は育成部へ向かった。

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