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不機嫌なスミレ
数回のコールの後、電話が繋がる
「あ〜…寝てたか?休みのところ悪いなスミレ」
〝なんです?猛さん…〝
「静かーに怒ってるなお前。仕事だ。観察室予約して品評会ルームへ来い。あと、タブレット持って来て」
〝……〝
ガチャ
「切りやがった…たく」
「そりゃ、切りますよ?俺だって休みにかかってきたら怒るし」
「徳川、後で説教な」
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しばらくの雑談の後、三河が口を開く
「猛、スミレに任せるの?」
「ああ、あいつ今仕事はこなすが落ち期だからいいリハビリになるだろ。菊の件以降メンタルやばいから」
菊と、聞いて…しんみりする一同
そこへガチャと開けられる扉
「来ましたけど?タブレットどうぞ」
「スミレ、こっちだありがとう」
「入りたくありません。この部屋は好みませんので」
「まあいいや。ツバキ連れて観察室に行ってくれ。着いたら電話くれ」
「?。よくわかりませんが…承知しました」
「ツバキ、スミレについていけ。白衣やる」
バサッとツバキに白衣をかけ部屋から尾張は追い出そうとした
見える刺青にビクッとするツバキは逃げるようにしてスミレの近くによった
「猛さん?それをみだりに見せるなと教えたはずですが?」
「今さらだろ?」
べっと舌のピアスを見せ笑う尾張
「まあ…いいです。ツバキ、行きましょう」
「あ、はい」
スミレはツバキの手首を掴み歩いていった
・
・
「今から行くところは観察室です。ただベッドがあるだけですが…」
「何するの?」
「ツバキの観察ですかね?私もよくわかりません」
スミレは尾張に電話をかけた
「着きましたが?」
〝よし。2週間お前に預ける。懐かせろ〝
「は?」
〝は?じゃねーよ。こっちから見てるからツバキをお前が仕込め〝
「それは命令なんですね?分かりました。何をしても構わないという解釈をします。それでは」
「スミレさん?」
不安そうにツバキを見上げる
「そんな顔をしないでください。この部屋には監視カメラがついています。おそらく先程のタブレットで観察されていますので私もあなたに手を出さないままでいるというのは立場上苦しいので分かりますね?」
「い…いやです」
「でしょうね?ならどうしましょう?あなたは間引かれたいですか?」
「それは…う…怖いです」
「ならば…従うしかありません。咲かされるのがいやなら自ら咲きなさい。とりあえず数分待ちます」
「スミレさん……」
苦しみに満ちた顔をしながら話すスミレにツバキは名前をつぶやくことしかできなかった
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「このタブレットで向こうが見える。いまは何か話してるな」
「ね…スミレさん大丈夫?ツバキに噛まれたり蹴られたりしない?」
「あ?大丈夫だ。むしろスミレがツバキの骨を折らないかのが心配だ」
「え、ちょ…さ…先生とスミレさんっていったい?さっき三河先生のことは色だって言ってたけど」
「幼馴染みたいなもんだ。ガキの頃からの付き合い?あいつも極道だよ」
「嘘だ」
葵が驚き目を見開く
あの優しいスミレさんが極道って?
しかも骨を折る!?
「あいつは1人で複数人ボコボコにするし、ダーツ投げが得意だからナイフなんかがあれば殺せるくらいの腕がある。あいつこそ怖いよ」
「じゃあなんでスミレさん召喚するわけ?」
「召喚って藤…ゲームかよ。リハビリだよ、スミレの」
「なんの?」
「ふぅ…白状するとな、菊は生きてる。今は俺の実家…というか、スミレの実家でもあるが、で小間使いしているよ」
「なっ」
「あらら?猛、間引いたことにするんじゃなかったの?」
「俺も初耳だ」
「すまんな。仁科。言うこと聞かないやつへの見せしめになって都合がよかったんだ」
「俺も知りませんでしたよ?」
「あ〜徳川もすまん。スミレが錯乱した都合でな。他の今までのやつは摘んだりしている手前特別扱いもどうかという話があったが…菊は血液が稀で殺すには惜しいと上が判断した。黙ってて悪かったな仁科も徳川も。藤と葵もな」
「よかった。生きてたんだ!ねっ藤」
「ああ、よかった」
藤と葵は喜び安堵し笑みを浮かべあった
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