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千代3

「スミレの兄ぃ、どうもガキがビビってるようで来てもらえます?」 「ガキって誰?」 「きくって言ったかな?」 「菊!?」 スミレは立ちあがり襦袢をひらひらとなびかせて玄関へと走った 車と鬼嶋が見える 「ご苦労さま。鬼嶋?」 「あ、スミレさん…すみません。なんか引っ張っても出ないし、抱き上げようにも車内で逃げるしでダメで」 「菊…?来なさい。さぁ」 スミレは手を伸ばし菊に手を向けるが菊は震えながら首を横に振っている。 確かこの子の本当の名前は… 情報…にあったはず…合っていれば… 「千代?分かる?聞こえてますか?千代っ」 「なんで…名前」 「合ってましたか?よかった。情報に合った名前を思い出せてよかったです。私が分かりますか?」 「助手のスミレさん…」 「そうです。ここは安全です。私も正気に戻っていますから大丈夫ですよ。出て?」 「うん」 千代は車内から降りたがまだ足が震えている スミレはひょいっと千代を横抱きに抱えた 「歩けませんよね?しっかりつかまりなさい」 「はい」 見た目からは想像できないその力強さに安心して千代はスミレにつかまった 「いい子です」 ・ ・ スミレは千代を組長の前へと連れてきた。 「それだな?お前が助けだそうとしたのは」 「千代です。それではありません。怖がっているので優しくしてください」 「いや…気になるだろ?猛の話だとお前、監視員ひとり切り裂いて折ったんだろ?」 「折りましたけど、切り裂いては間違いです。メスを投げただけです。おぼろげなのであいまいな記憶ですが」 「だけって怖いなぁ…スミレはまったく。で、どうするつもりだった?」 「壊すつもりだったんでどうするつもりもありません」 「そうか…それならそれできっちり落とし前つけろや。隣に布団敷いてあるからそっち行くぞ」 「…」 スミレは何も言わずに立ち上がり襦袢の紐を解きながら歩き、パンっと大きな音を立てて襖を開けた

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