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尾張親父2

「スミレが菊…いや千代か。千代とね…」 尾張は実家の前にいた。相変わらずの厳つさの佇まいだが産まれた時からこの家に住む尾張はもはや慣れビビりはしない。 「若っ」 「ん?あぁ」 スキンヘッドが尾張に近寄る 「今日はこっちか?鬼嶋(きじま)」 「はい。育成は下に任せて先先月だったかからかこっちにいます。楓はどうです?医師になったと聞きましたが?」 「そうか。楓はまあなんとかやってる感じだ」 「それは良かった。今日はどうしたんです?」 「親父への面通りと千代…に会いにきた」 「ちょうどいま一緒にいると思います」 「なっ。なんか千代がしでかしたか?」 「いや、ただ可愛いがられてる?のかなぁ…あれは」 「とりあえず行く。鬼嶋、ご苦労」 「行ってらっしゃい」 尾張は急足で親父の部屋へと向かう きゃっきゃと笑う声が聞こえる 「親父っっ」 「あ?ああ、猛か…血相変えてどうした」 「なんで膝の上に千代が」 「重いからいいって言ったんだけど、パパさんがどうしてもって」 「パパ!?」 「息子がひとり増えたと思えばなになかなか可愛いもんだ。売れなかった花と思うと憎いがな。親しみを込めてパパと呼ばせている最中だ」 「そいつ、スミレの色…って聞いてんだけど?違うわけ? 「知ってる。見せてももらったし、一緒にしたからな。地下でのことを詫びるつもりがあるならやりなさいと言ったらやりだして。なかなか美しく咲く2人は魅力的だった」 「なっ?親父の前でしたのか?」 「させたが?損失を出した2人をどうするか悩んだが…まあ愛でるのも悪くない。昔なら殴り倒していただろうが。ところで何用だ?」 「あ…いや。スミレがちょっとやらかしたんだよ。カメラ破壊したのと花を食っちまって」 「はは。あいつらしいな。どの花だ?」 「ツバキ」 「なかなか手強い花と聞いたが、スミレに足を開いたか?やるじゃないかスミレ」 「いやどうすんの?規約違反。褒める流れかよ」 「じゃあ鞭打ちでもするか?」 「だめっっパパさん」 「ん?千代どうした?」 「スミレさんに鞭打ちとかダメだから。ね、先生その子間引かれる?パパさん、その子も引き取ってよ」 「うちは保育園じゃないからな。お前は利用価値があるから引き取ったが…その花には何がある?お手つきでも構わないやつも大勢いるからそのままスミレに出荷まで仕込ませろ」 「スミレさん…実はえっちうまいもんね。すごく素敵だった。しばらく会えないかな?寂しい。いつも花屋に帰っちゃうし」 「う〜…一応仁科が担当なんですけど?ありですか?そんなん。つーか千代変わったな?」 「ありだ。仁科とスミレの双方から仕込ませればいい。なんなら仁科にも抱かせろ。ツバキはその線で売ることにする」 「分かりました」 親父の不敵な笑みに尾張は恐れを感じ、素直に返事をして実家を後にした

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