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第6話
「間もなく開廷です。出廷の準備をしましょう」
法廷は敵ばかりだ。
その中で犯人に繋がる糸口を見つけないと。
「わわっ」
「フフ、驚かせてしまいましたか」
ピンっ……て。
おでこ弾かれた★
「顔が強張っていましたよ。そのように緊張せずとも俺がいます」
「クレイ!?」
「以前のあなたには、こんな事できなかったでしょうね。なぜだか親近感を禁じえないのです」
つまり、それは……
「頼りないって事だよね」
「逆ですよ。俺があなたを支えたいんです。あなたに頼って貰いたいから」
「ひゃっ」
唇が触れるか触れないかの距離。
うぅん、吐息はもう触れている。
「頼れる男になりますね」
端の掠れた熱い吐息が耳朶を這う。
「……おや、耳まで真っ赤。部屋が少し暑いでしょうか。気が付かず、すみません」
そういう事じゃないんだけど〜……ぶつぶつ。
「しかし、ちょうどいいです。このまま着替えてしまいましょう」
「着替え?」
出廷服という物があるらしい。
被告人は出廷服で出廷せねばならないそうだ。
「これでいいかな?」
半透明のマントをひらりとまとった。
「ヴァイス…リッター……」
おかしいな。クレイの反応が妙だ。
俺、変な事した?でもマントって、肩に掛けるだけだよね?
えっと、ボタンがある。これをとめて……ポンチョみたいになっちゃった★
「ヴァイスリッター、心苦しいのですが」
「違った?」
ボタン掛け違えてしまったのだろうか。
そんな事ないぞ。
「服はお脱ぎ下さい」
「………」
「………」
「??」
服、脱ぐ……なんで?
「出廷服の下は着衣禁止です」
俺、健康診断を受けるんだっけ?
いや、これ検査着じゃない。これは出廷服で、俺は法廷に行くんだ。
レントゲン検査はしない。
なんで??
「覚えていないのも無理ありませんね。出廷服の下に何も身に付けない事で、武器を携えていない証明となります」
なるほど。
「また服を着ない事で、生まれたばかりの無垢な姿。つまり、穢れのない罪なき身である事の体現となるのです」
「………………えっ」
今、何気にすごい事言わなかったか?
「何卒ご理解を」
ブンブンブンブン!
つまりそれってェェェー!
この半透明のひらひらマントの下は……
「すっぽんぽんってことォォオーッ★!!」
「はい♪」
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