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第38話
ゴゴゴゴゴォン!
壁が割れ、刃が振り落とされる。
「うわっ」
狭い通路の壁に激突しながら、寸でのところで刃を避けた。
『大丈夫、想定内です』
体勢を立て直してデュナメスが走行を続ける。
『既に敵が配置されていますね。こちらの動きを読まれていたようですが、数が少ない。斥候……偵察のパワーズでしょう。振り切ります』
暗闇に火花が上がった。
車輪を軋ませて、敵の刃を避けて走る。
リンリンリン
警告音が鳴る。エネミー接近の報せだ。
「どこ?」
緊張で握りしめた拳に汗が滲んだ。
『どこだろうと関係ありません』
リンリンリン
エネミー接近の警報が鳴るのに、目視できない。
『入り組んだ地下道の影に隠れているのでしょうが……ライト様、左のボタンを押して下さい』
何もなかった空中にモニターが現れて、緑色のボタンが点滅する。
『そう、それです。点滅が消えて強く光った瞬間……今です!押して下さい』
「えいッ!」
ガガガガガァァァー!
辺りが眩しく照り輝いた。
閃光弾?
否。
「ビーム……」
石壁が砕けて黒く焼け焦げている。
『全方位ビーム弾』
《リヒトヴォルケ》
『デュナメス特殊装備です。あなたには何人たりとも触れさせませんよ』
「凄い……」
まさに光の雲だ。
ビー厶の弾幕が石壁ごと薙ぎ払った。
あれだけ激しく鳴り響いていた警告音が、ピタリと止んだ。
でも、それは……
「……俺が殺したの?」
真っ赤に染まっていたエネミー反応が消えた。
それは、つまり……
敵がいなくなったという事は、つまり……
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